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昨日の放課後。昇降口で靴を履き替えながら、仁人が言った。
「明日ダンス部オフなんだよね」
「まじ?じゃあ俺、部活終わったら一緒帰ろ」
「えー、先帰っててダメ?」
「…ひどい!!」
「何して暇潰せばいいんだよ、まじ帰るからね?!明日!」
仁人は笑いながらそう言った。
翌日。
勇斗は予定どおり放課後を迎えたけど、予想外のアナウンスが入った。
「今日、グラウンド使えなくなったから部活中止だってさ」
部活に向かおうと隣で歩いていた仲間が「ラッキー!」と嬉しそうに声を上げる中、勇斗も嬉しそうにしていた。ふとポケットからスマホを取り出し
「じんとー」
「部活無くなったわ、一緒帰ろーよ」
スタンプをひとつ、ぽんと送ってからもう一通。
「今どこ?」
だけど、しばらく既読がつかない。
あいつ、ほんとにもう帰った?早すぎだろ
もう全部授業は終わったし、普通に帰っていてもおかしい時間ではない。
少しだけ肩を落としながら、勇斗は鞄を背負って玄関を出た。
外は夕方。オレンジ色に染まった空と、遠くで鳴るチャイムの音。
風が涼しくて、部活帰りの空気が少しだけ寂しい。
寂しい気持ちでトボトボ歩きながら、途中のファミマに寄った。
飲み物でも買って帰るかと、手に取ったアイスコーヒーをレジに置く。
「PayPayで」
ピッという音と同時に、スマホの通知が光った。
見慣れた名前がそこにあって、思わず画面を開く。
「ごめん」
「いま図書館で勉強してた!今から帰るよ」
思わず、口元がゆるんだ。
「勉強してたって……真面目ちゃんかよ」
呟きながら、コンビニの外に出て返信を打つ。
「いまファミマいるからそっち行っていい?」
「途中で合流しよ」
「はーい」
「向かいまーす」
可愛い返事が返ってきて走って迎えにいく勇斗だった。