テラーノベル
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玲子「うん、これならうまくいくはず!」
志保「……でも玲ちゃん。本当にそんなことしていいの……?」
玲子「うるさいな。言っとくけど、アレを蟲塚に捨てに行くのはあんたの役目だからね!」
志保「え~……」
その日の夜――
教師「みなさん、入浴の時間になりました。それじゃあ、1班の人から順番にお風呂にはいってくださ~い」
生徒「は~い」
しばらくして……
里奈「ふう、さっぱりした。……あ、あれ?」
ない! そんなはずないのに……。お風呂から上がってきた里奈は、なぜか自分の下着がないことに気付いた。着替え用だけでなく、自分が脱いだやつもない。着替え用だけなら、もしかしたら部屋から持ってくるのを忘れただけかもしれない。しかし、脱いだのもないとなると……
里奈「(もしかして……盗まれた?)」
玲子「どうしたの?」
そこに玲子が話しかけてきた。
里奈「べ、別に……」
玲子に知られてもろくなことにならない、と考えて里奈は打ち明けないことにした。
玲子「そう? 何もないんならいいんだけど。あっ、そうだ、さっき、あたし、森に行ったじゃない? あのときね、蟲塚の近くでおもしろいもの見たよ」
里奈「なに?」
玲子「それがね……、パンツなの。女の子用の。お参りしたとき、誰か落としたのかなぁ? だとしたら、とんでもない間抜けな子よね~」
里奈「!」
里奈はその話を聞いて、やったのは玲子だと気がついた。が、証拠もないのに、これ以上問い詰めるわけにもいかない。
里奈「そ、そうなんだ……。あ、じゃあ僕、もう行くね」
里奈は興味のないふりをしてその場を離れた。しかし、はいていたのも、着替え用もなくなったとなると、もう替えの下着はない。寝るときは体操服だからいいものの、どこかでスカートに着替えるタイミングは必ず来る。そうなったらヤバい! 後で、就寝時間になったらこっそり抜け出して、探しに行かないと……。
その頃玲子達は――
玲子「やってやった♪ やってやった♪ 後は、里奈がスカートに着替えたら、いたずらのふりしてスカートめくちゃお♪」
志保「玲子ちゃん、やっぱりやめようよ~」
玲子「うるさいわね! あんたは早く、蟲塚にこれを捨ててきなさい!」
と、そこへ……
厚「何しているの?」
玲子「!」
志保「こ、これは、違うの、その……」
玲子「志保は黙ってて! 厚、あんたにいいものあげる。はい、これ」
厚「えっ」
玲子は厚に里奈が履いていた下着を押しつけた。
厚「こ、こんなの、もらえないよ……」
玲子「いいから持ってなさい! じゃないと、あんたが里奈のパンツ盗んだって、先生にいいつけるからね!」
厚「そんな、むちゃくちゃだよ……」
玲子「いいからそれ持ってあっち行きなさい!」
厚はしぶしぶその場を離れて行った。
志保「玲子ちゃん、どうしよう、厚君に見られちゃったよ……」
玲子「別にいいわ。どうせ、あいつに告げ口する度胸なんてないわよ。それよりあんたは、早くそれを持っていきなさい! 入浴時間が終わると、先生の見回りが厳しくなるでしょ!」
志保「わ、わかったよ……」
そして就寝時間――
里奈「…………よし」
里奈がこっそり部屋を抜け出そうとすると……
綾香「ん……、里奈? どこ行くの? トイレ?」
里奈「綾香! それがその……。実は、たぶん玲子が犯人だと思うんだけど、私のパンツが昼間行った蟲塚に捨てられているらしいの……。だから取りに行こうと思って……」
綾香「えっ!? それはさすがに、先生に言った方がいいんじゃない?」
里奈「うん……、けど、本当にそこに捨てられているのかとか、玲子がやったのかとか、確実じゃないから、ちょっと言いにくいかも……」
綾香「そっか。で、どうするの?」
里奈「とりあえず、今のうちにこっそり蟲塚に行って、パンツ探してみる……」
綾香「わかった、私も手伝うよ。ひとりで探すのは大変でしょ?」
里奈「ほんと? ありがとう!」
こうして二人は、「青年の家」の非常口から抜け出し、フェンスを越えて、夜の森へと向かっていった……。(続く)
コメント
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初めて見たけど、、、すげぇな笑