テラーノベル
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懐中電灯の明かりを頼りに、綾香と里奈の二人は暗い森の中を歩いていた。昼間でさえどことなく不気味だった森は、夜になるとまるで異界にでも迷い込んでしまったかのような気がして、二人はしっかりと手を握って歩いた。
ガサッ
綾香&里奈「!!」
途中、物音に驚いて懐中電灯の光を当てたが、木々に覆われて遠くを見通すことはできなかった。
里奈「誰か、いるの……?」
綾香「たぶん、風で枝が折れて落ちたとか、そういうのじゃないかな……」
里奈「そ、そうだよね。もういこっか」
綾香「うん……」
そういったものの、綾香自身、闇の中から誰かに見られているような気配を感じていた。きっと気のせい、不安になっているだけ……。そう思いながら綾香は闇の中を歩いた。
視界のきかない中をじりじりと歩いて行ったため、昼間よりも時間はかかったが、ようやく「蟲塚」が立つ開けた場所まで来ることが出来た。懐中電灯の光を当てると、確かに蟲塚もそこに立っているのが確認できた。……が、昼間とは少し様子が違った。
里奈「あれ? 昼間見たときは、あんなかたちだったっけ?」
綾香「えっ? あっ、なんか形が違う気がするね。場所間違えた?」
だが、懐中電灯で照らしてよく見てみると、「蟲塚」と呼ばれた石碑の一部が崩れていたのだ。昼間はちゃんと形を保っていたはずだが……。
綾香「場所はここで合っているみたい。でも、どうしたんだろ? 自然に崩れちゃったのかな……」
里奈「わかんない……。そ、それより、あたしのパンツ探して、早くかえろ」
綾香「あっ、そうだね」
二人は、どこかに下着が落ちていないか、そのあたりを探した。しかし、懐中電灯の光の限られた範囲しか見えないため、なかなか見つからない……。
綾香「なかなか見つからないね。私、スマホ持っているから、その明かりで探してみる。懐中電灯は里奈ちゃんが使って」
里奈「わかった、ありがとう」
しばらく探していると、ふと綾香は闇の中に白っぽい物が浮かんでいることに気づいた。
綾香「あっ! あそこにあるのが、そうじゃない?」
里奈「え? どこ?」
里奈は懐中電灯の光を綾香の指さす方向にあてた。すると確かに、木の根元に白い布のようなものが見えた。里奈が近寄ってきてそれを確認すると……。
里奈「えっ、何これ!?」
それを見た里奈は、思わず声を上げてしまった。なぜなら、よく見るとその下着らしきものが動いているように見えたからだ。
里奈「ひっ!」
それは無数の虫だった。虫が下着に群がって、動いていたように見えたのだ。
綾香「ど、どうしたの?」
里奈の声に反応して綾香も近寄ってきた。
綾香「……なに、この虫……?」
里奈「わかんない……。どうしよう、こんなの拾えないよ……」
綾香「~~~~っ!」
里奈「綾香!?」
綾香は覚悟を決めて、下着を手に取ると思いっきりはたいて虫を振り落した。
綾香「もう虫はついていないかな?」
里奈「暗くてわからないけど、大丈夫そう。ありがとう、綾香」
綾香「よし、じゃあ帰るよ!」
そして二人は逃げ出すように元来た道を帰っていった。ただ、このとき、あまりに衝撃的な光景を見てしまったために、里奈は忘れていた。盗まれた下着が、はいていたやつと、着替え用の2枚だったことに……。
一方その頃、玲子はというと……。
玲子「(里奈のやつ、部屋にいなかった。ということは、蟲塚までパンツ取りにいったんだ。じゃあ、帰ってきたとろこを見つけて、大騒ぎしてやろっと。あいつも先生に怒られればいいんだわ)」
そんなことを考えながら、里奈が帰ってきたところをすぐ気づけるよう、見張れるような場所を探していた。と、そのとき
厚「あれ、玲子ちゃん?」
玲子「!! なんだ、厚か……。玲子ちゃんなんて、気安く呼ばないでよ!」
厚「ごめん。で、こんなところで何やってるの?」
玲子「そ、それは……。あんたこそ何やってんのよ、こんなところで!」
厚「僕はおトイレに行こうと思って……。玲子ちゃんもそうなの?」
玲子「そんなこと、女の子に聞くもんじゃないわよ!」
厚をごまかすために、玲子はその場を立ち去り、なんとなく1階に降りた。ただ、1階に用があるわけではないので、すぐに戻ろうとしたが……
玲子「このまま階段あがると、厚がまだいるかもしれないわね。別の階段からあがろっと」
そう思って1階を歩いていると、ふと下に降りる階段を見つけた。
玲子「へぇ、地下室なんてあるんだ」
なんとなくその階段を下りていくと、下には扉がひとつあるだけだった。
玲子「なんだ、つまんない。この扉だってどうせ閉まっているでしょ。……あ、あれ?」
なんとなく扉を押してみると、なんと鍵はかかっておらず、扉があいてしまった。
玲子「へぇ。中に何があるのかな」
玲子はそのまま扉の中へ消えて行った……。
しばらく後――
志保「うう、道を間違えちゃって帰るのにすごい時間かかちゃった……。誰にも見つからないようにしないと……」
玲子「志保?」
志保「きゃ! ……なんだ玲子ちゃんか。びっくりしちゃったよ。玲子ちゃんは……そこから上って来たの? 地下室?」
玲子「ああ……地下に降りる階段があったけど、扉が閉まってたわ」
志保「ああ、そりゃそうよね。ね、もう部屋に戻ろ?」
玲子「そうね」
志保はふと、玲子がいつもより大人しい気がしたが、あまり追求しないことにした。
志保「(どうせ、玲子ちゃん聞いても教えてくれないだろうしなぁ)」
そして、その夜は更けていった。(続く)
コメント
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おぉ!クオリティ高!