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28話 10005スポット 目新しいお金
高い。
見上げると、
首が少し疲れる。
10005スポット。
建物が縦に積み上がり、
影が長い。
リカは、
少しゆったりした上着。
肩から小さな鞄。
腰元で、
電子マネーとお守りが
静かに触れる。
一緒に歩く友達は、
動きやすい服。
足取りが軽い。
キーホルダーが
小さく揺れる。
店に入る。
棚は整っていて、
光が反射する。
レジの前。
アイが、
先に支払う。
短い動作。
リカは、
止まる。
差し出されたのは、
紙。
折られた、
何枚もの紙。
数字が印刷されている。
硬さがあって、
少しだけ音がする。
「ここはね、
これ」
アイは、
肩までの髪を揺らす。
表情はいつも通り。
元気そうで、
迷いがない。
「全部、お札」
リカは、
紙を見る。
触る。
軽いのに、
枚数で重さが変わる。
いつもは、
小銭ありだ。
ここでは、
数える。
指で揃える。
「変な感じ」
小さく言う。
アイは、
笑う。
「慣れるよ」
高層ビルの窓。
外の景色。
遠くまで、
街が続いている。
リカは、
お札をしまう。
キーホルダーを
ジャラジャラさせながら。
紙の重さが、
手に残る。
同じ支払い。
違う感覚。
それが、
このスポットだった。