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誕生日パーティーも無事に終わり、私はまた平和な日々を取り戻していた。
今日はシャルルダルク様が私の部屋に入り浸っており、相変わらず書物を読んでいる。
私は薬草馬鹿なので、シャルルダルク様の事など気にも留めずに、調合や薬酒作りに励んでいた。
すると、部屋の扉がノックされた。
「ん?
レガットか?」
シャルルダルク様は言う。
サリーがどなたか問うと、「ミレーア様の遣いにございます。」とその者は答えた。
「サリー、通せ。」
私はやっと来たか、と思いサリーにそう言った。
短めの黒髪の女官が恐る恐るというふうに部屋に入ってきた。
「はじめまして。
ロアと申します。
マリーナ様。
私は内密にミレーア様の遣いとして参ったものでございます。」
「はじめまして。
ロア殿。
お待ちしておりました。」
私はにっこりとそう言った。
「待っておった…とは?」
「ミレーア様は鉄剤だけでは治らぬ病だと考えていたのでございまする。」
「……おっしゃる通りです。
ミレーア様はベッドから起きる事もままならなくなり、髪は抜け、爪はひび割れております。
もう国医も匙を投げ、最後に藁をも掴む思いで…」
ロア殿は言った。
「安心なされませ。
ミレーア様には、この薬をまずは飲ませてくだされ。」
私は用意していた、紙袋に入った薬を差し出す。
「これは…?」
「婦宝当帰膠という薬にございます。」
「フホウトウキコウでございますか…?」
「えぇ、めまいや立ちくらみ、髪や爪の不調にもよく効きまする。
身体に血を増やす四物湯が含まれておりますし、気を補い、脾を健康にする黄耆なども入っておるのです。」
「はぁ…
よく分かりませぬが、これでよくなるのでございますか?」
「えぇ、治ると思いまする。
それから、人参をとにかく食べさせてくだされ。
食べ方としては、人参をすりおろして植物油と醤油をかけるが良いかと。」
「人参などで治るのですか…?」
「野菜には薬草のような効果を持つものが多数ございます。
もちろん、人参だけではそれほどの効果は無いかもしれませぬが、婦宝当帰膠との合わせ技で、回復も早まるのでございます。」
私は説明する。
「分かりました。
マリーナ様を信じてこの薬と人参を食させます。」
そして、ロア殿は頭を下げ、薬を持って帰っていった。
2週間が経ったころ、ミレーア様からお茶会のお誘いの文が届いた。
そこには、元気になったのはあなたのお陰だからぜひ招待したい、と記されていた。
こうして、私の薬師としての評判は薔薇の後宮にまで広まりつつあったのだった。
恋は中々進展しないが、仕事運は悪く無さそうである。トホホ…