テラーノベル
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⚠︎3000字近いです、…すいません。。
それでは、
どうぞっ。
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王宮の最も高い塔。
そこに住む少女の存在を、国民は知らない。
王女綺羅。
王の娘でありながら、その存在は秘密にされていた。
理由を知る者はわずか。
国王。
皇后。
そして、第一聖騎士部隊隊長の美咲。
3人だけだった。
幼い頃からジウは自由を知らない。
外へ出ることも。
祭りへ行くことも。
街を見ることでさへもできなかった。
外から見える空だけが世界だった。
そんな彼女の隣にはいつも1人の女性がいた。
剣を携えた騎士。
国最強。
第一聖騎士部隊隊長。
聖騎士達を束ねる頂点。
美咲。
💛「美咲。」
🧡「はい、綺羅様。」
💛「外ってどんな感じ?」
またその質問だった。
美咲は少し笑う。
🧡「今日も聞くのですか。」
💛「だって知らないもん。」
窓辺で頬を膨らませる綺羅。
💛「市場の匂いとか、お祭りとか、雨の日の街とか。」
🧡「人が多いですよ。」
💛「それだけ?」
🧡「賑やかです。」
💛「もっとあるでしょ!」
綺羅が不満そうに睨む。
🧡「私には護衛と任務しかありませんので。」
💛「つまんない人生。」
🧡「そうかも知れません。」
その返答に、綺羅は少しだけ胸が痛くなる。
美咲はいつだってそうだった。
自分のことを後回しにする。
国のため。
王家のため。
民のため。
それが当然だって思っている。
だからこそ、綺羅はいつの間にか彼女に惹かれていた。
ーーーーー
ある日のことだった。
王室の廊下。
綺羅は偶然、ゆあの執務室前を通りかかる。
扉の向こうから声が聞こえた。
💜「3人です。」
ゆあの直属の後輩の桜花だった。
桜花は物心ついた頃から聖騎士になることを目標に掲げていた。
そして、学生の頃見回りに来ていた美咲に弟子にしてくれと頭を下げたそうだ。
💜「全員、死亡しております。」
綺羅は足を止める。
💜「死体の損傷が激しく、拷問の痕跡も…」
🧡「…、そう。」
美咲の重い声。
🧡「場所は?」
💜「北西部の農村辺りとされています。」
沈黙。
🧡「私が向かう。」
その言葉に綺羅の胸がざわついた。
ーーーーー
翌日。
第一聖騎士部隊本部。
若き副隊長百花が地図を広げる。
💙「被害者3名とも巡回任務中です。」
隣では新人ながら実力者の柚葉が資料を読んでいた。
🩵「村人の証言も曖昧です。」
🧡「不自然ですね。」
美咲は腕を組む。
🧡「何か、隠している。」
その目は鋭かった。
獲物を見つけた鷹のように。
3人は数日かけて村へ辿り着いた。
そこは平和そのものだった。
畑。
井戸。
遊ぶ子供や談笑する女性達。
老人達。
誰が見ても普通の村。
だが、美咲だけが違和感を覚えていた。
🧡「…おかしい。」
💙「何がですか?」
百花が聞く。
🧡「子供が痩せすぎている。」
💙「え?」
🩵「女性もですね、。」
百花が周囲を見渡す。
確かに、男達だけが異様に体格が良かった。
夜。
村人達は親切だった。
食事も提供された。
寝床もある。
しかし、美咲は剣を手放さなかった。
🩵「美咲さん、休みましょうよ。」
柚葉が苦笑する。
🧡「大丈夫です。」
その瞬間だった。
バリン!!
窓ガラスが割れた。
柚葉が反射的に窓に近づく。
それが失敗だった。
矢。
斧。
石。
一斉に飛んできた。
🧡「伏せて!!」
美咲が叫ぶ。
外には村人達。
数十人。
いや、百人近い。
目は狂気に染まっていた。
『奪え!!』
『殺せ!』
怒号が響く。
ーーーーー
戦闘が始まった。
村人達は武装していた。
鍬。
斧。
剣。
奪った武器だろう。
女性も、老人も。
子供ですら石を投げる。
🩵「美咲さん!」
柚葉が囲まれる。
百花も押されていた。
その時。
男の人が剣を振り上げた。
狙いは柚葉。
🧡「危ない!!」
美咲が飛び込む。
ズブッ
鈍い感触。
脇腹を深く裂かれた。
鮮血が飛び散る。
💙「隊長!」
百花の悲鳴。
だけど、美咲は倒れなかった。
剣を抜く。
🧡「下がりなさい。」
静かな声。
それだけだった。
次の瞬間。
閃光のような斬撃が走る。
男達が一瞬にして吹き飛んだ。
地面が赤く染まる。
🩵💙「、…すごい。」
誰も近づけない。
聖騎士最強。
国の守護者。
美咲だった。
ーーーーー
目を覚ますと木造の天井が見えた。
小屋だった。
脇腹が焼けるように痛む。
💙「隊長!!」
🩵「起きた!」
百花と柚葉が飛びつきそうになる。
🧡「痛いから辞めてください。」
🩵💙「すみません、!」
2人が同時に頭を下げた。
🩵「私のせいで、…」
柚葉の目が赤い。
🩵「美咲さんが怪我を、」
🧡「気にしてない。」
美咲は即答した。
🧡「生きています。」
🩵「でも!」
🧡「二人とも無事でしょう?」
沈黙。
🧡「なら十分。」
その言葉に。
二人は泣きそうな顔になった。
ーーーーー
数日後。
王宮へ帰還。
報告を終えた美咲は塔へ向かう。
綺羅の元へ。
扉を開けた瞬間。
💛「美咲!」
綺羅が飛び込んできた。
ぎゅうっと抱き締められる。
🧡「っ、…」
脇腹に激痛が走る。
だが、美咲は顔色一つ変えない。
💛「おかえり!」
🧡「ただいま、戻りました。」
💛「急にいなくなって、心配したんだから!」
笑う綺羅。
その笑顔を見て、美咲も少し安心した。
しかし、次の瞬間。
綺羅の表情が固まる。
💛「……なにっ、これ…」
美咲の服の隙間。
包帯と針で何十にも縫われた傷跡。
💛「美咲?」
🧡「これは、…そのっ……」
💛「怪我してるじゃん!」
🧡「擦り傷です。」
💛「嘘!」
🧡「本当です。」
💛「縫ってるのに!?」
🧡「少しだけです。」
💛「少しじゃない!!」
塔中に響く声だった。
その後、綺羅は涙目で怒った。
珍しく、美咲は押されていた。
医務室に連れていかれ、そこに宮廷医師の來亜。
侍女長の未渚美、部下の桜花まで集まってきた。
全員が傷を知っていたため、当然のように美咲を説得した。
🤍「安静にしてください。」
來亜が言う。
🧡「拒否します。」
💜「却下です。」
🧡「でも、任務が…」
🤍「却下です。」
即終了だった。
ーーーーー
その日の夜。
部屋には2人だけ。
窓から月明かりが差し込む。
💛「…怖かった。」
綺羅は静かに言った。
💛「帰ってこなかったらどうしようって、」
小さな声。
初めて聞く声だった。
🧡「綺羅様。」
💛「やだ。」
🧡「え、?」
💛「その呼び方。」
💛「2人の時くらい、…」
綺羅は俯いた。
💛「綺羅って呼んで。」
静寂が訪れた。
🧡「…綺羅。」
優しい声。
それだけで胸がいっぱいになる。
💛「美咲。」
🧡「はい。」
💛「絶対死なないで。」
その願いは王女ではなく、1人の少女のものだった。
美咲は少し考える。
珍しく柔らかく笑った。
🧡「約束はできません。」
綺羅がムッとする。
🧡「ですが、」
美咲はそっと頭を撫でた。
🧡「帰る場所がある限り、必ず戻ります。」
その言葉に、綺羅は泣きそうになった。
籠の中の王女。
国を守る騎士。
2人の距離はまだ名前のないまま。
それでも確かに、少しずつ近づいていた。
月だけがその秘密を知っていた。
end.
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コメント
1件
わあ…第1話から重くて美しい世界観だったね🕊️ 綺羅と美咲の距離感がすごく繊細で、呼び方一つ変えるだけでこんなに心が動くんだって思ったよ。 「帰る場所がある限り必ず戻ります」って台詞、めちゃくちゃ響いた。 最後の月明かりのシーン、ずっと覚えてる。 続きがすごく気になるよ…お大事に書いてくださいね、ゆあ。さん💌