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#連載小説
観察者
310
椿
27
## 第二章 ひもの部屋
湊は、暗い部屋の中で動けずにいた。
天井から何本ものひもが垂れている。
細いもの。
太いもの。
長さもバラバラだった。
「……これ、何に使うんだ?」
その瞬間――
カチッ。
部屋の明かりがついた。
「うわっ!」
湊は思わず目を閉じた。
壁には、大きな文字が書かれていた。
**『第二試験』**
その下には、
**『ひもを使い、15分間耐えてください』**
と書かれている。
「15分……?」
湊が壁を見る。
その横には小さな時計があった。
00:00
まだ動いていない。
すると、スピーカーから声が聞こえた。
『第二試験を開始しまーす♪』
「待って!」
湊が叫ぶ。
『この部屋から出ることはできません』
『15分後に扉が開きます』
『ただし――』
声が一度止まった。
『ひもを使わずに床へ落ちた場合、失格です♪』
「……床に落ちたら?」
答えはなかった。
代わりに、
ピッ。
時計が動き始めた。
**14:59**
「始まった……!」
湊は急いでひもを探した。
しかし、どのひもをどう使えばいいのか分からない。
「足……腕……」
そのとき、壁の端に小さな文字を見つけた。
誰かが鉛筆で書いたようだった。
**『ひも部屋 足や腕を巻け』**
「これだ!」
湊はひもを一本取った。
まず足に巻く。
そして右腕にも巻いた。
「これなら……」
その瞬間。
――ガン!
天井から何かが落ちてきた。
湊はびくっとした。
見ると、さっきまで誰もいなかった場所に、人形のようなものが立っている。
「……何だ、これ」
人形は動かない。
でも、その顔には大きな笑顔が描かれていた。
湊は目をそらした。
時計は進んでいく。
**12:34**
**10:21**
**08:47**
突然、
――ドン!
壁が揺れた。
「な、何?」
もう一度、
――ドン!
今度はもっと大きい。
壁の向こうから何かがぶつかっている。
湊は息を止めた。
「この部屋……大丈夫なのか?」
さらに、
――ドン!
天井から小さな石が落ちてきた。
湊は必死にひもを握った。
「あと少し……」
時計を見る。
**03:12**
そのとき。
部屋の隅にあった人形が――
カタッ。
少しだけ動いた。
「……え?」
湊は固まった。
人形の顔が、ほんの少しこちらを向いている。
「気のせい……だよな?」
カタッ。
また動いた。
湊は目をそらさず、人形を見つめた。
すると、人形の口元が――
ゆっくり開いた。
「……!」
声は出なかった。
そして、
**00:10**
**00:09**
**00:08**
人形が一歩近づいた。
**00:05**
二歩目。
**00:04**
湊はひもを強く握る。
**00:03**
人形が手を伸ばす。
**00:02**
湊は目を閉じた。
**00:01**
――カンッ!
時計が止まった。
同時に、
ガチャッ!
扉が開いた。
湊はその場に座り込み、大きく息を吐いた。
「……終わった?」
スピーカーから声が響く。
『第二試験、クリアでーす♪』
湊は立ち上がった。
すると、開いた扉の向こうに――
人が4人立っていた。
「……4人?」
さっきまで30人近くいたはずなのに。
湊は言葉を失った。
その4人も、疲れた顔で湊を見ている。
そして、その中の一人が小さな声で言った。
「俺たち……まだ終わってない」
「え?」
男は廊下の奥を指差した。
そこには、さらに一枚の赤い扉があった。
扉には、
**『最終試験』**
と書かれている。
湊は息をのんだ。
そのとき――
『おめでとうございます♪』
また、あの声。
『ここまで残った皆さんには、特別な試験を用意しました♪』
扉がゆっくり開いていく。
その向こうは真っ暗だった。
『最後の試験は――』
声が笑う。
『この中で一番大切なものを、見つけてもらいます♪』
湊は眉をひそめた。
「一番大切なもの……?」
すると暗闇の奥から、
――コン。
――コン。
誰かが扉を叩く音がした。
そして、かすかな声が聞こえた。
「……たすけて……」
湊の顔から血の気が引いた。
その声は――
聞き覚えのある声だった。
コメント
1件
うわ、第2話めっちゃ怖かった……!「ひもを使わずに床に落ちたら失格」ってルール、最初は何が起こるかわかんなくてゾワっとしたけど、人形が突然動き出して口を開けたシーンでは思わず息を止めました。倒計時00:01からの脱出、ギリギリすぎて心臓に悪い(笑)。それにしても30人近くいたはずが4人だけ、そして最後に赤い扉と「たすけて」って声……湊が聞き覚えのある声ってのがすごく気になります。これは続きが待ちきれないです!