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ポテサラ
2,468
#実況者イラスト
アル🧩👾
11
夜道は長かった。
燃える集落の明かりが見えなくなっても、二人は歩き続けた。
らっだぁはほとんど喋らない。
先を歩いているだけだ。
道案内をしているようにも見えない。
ただ迷いなく進んでいる。
レウは数歩後ろを歩いていた。
静かだった。
虫の声。
風が木々を揺らす音。
自分の足音。
それだけ。
「遠いの?」
前を歩く背中に尋ねる。
「遠い」
返事は短かった。
「どれくらい」
「歩けば着く」
「聞いた俺が馬鹿だった」
「そうだね」
即答だった。
レウはため息を吐いた。
やっぱり変なやつだ。
助けられた直後でなければ、とっくに引き返していたかもしれない。
いや。
引き返す場所なんてなかった。
だから結局、ついてきていたのだろう。
そんなことを考えていると、前を歩いていたらっだぁが突然立ち止まった。
「どうしたの」
「命令」
「え」
「右を見て」
言われるまま視線を向ける。
森の隙間から夜空が見えた。
星が散っている。
初めて見る景色だった。
集落では高い柵と建物に囲まれていた。
鎖の届く範囲が世界のすべてだった。
こんな空を見たことがなかった。
「……綺麗」
思わず呟く。
「そう?」
「うん」
「見慣れてるから分かんないや」
らっだぁは興味なさそうだった。
レウは少し笑った。
「変な命令」
「嫌だった?」
「別に」
むしろ、少しだけ嬉しかった。
やがて森が開けた。
レウは思わず足を止めた。
目の前にあったものが予想以上だったからだ。
城だった。
本当に。
冗談みたいな大きさの城だった。
黒い石で作られた巨大な建物。
高い塔。
鋭い屋根。
月明かりを浴びて静かに立っている。
まるで昔話の中に迷い込んだみたいだった。
「……でか」
感想はそれだけだった。
「でかいよ」
らっだぁが頷く。
「住んでるの?」
「うん」
「一人で?」
「うん」
もう一度城を見上げる。
やっぱり大きい。
どう考えても一人で住む大きさじゃない。
「⋯寂しくないの?」
何気なく聞いた。
らっだぁは少し考えた。
「もう慣れたよ」
その返事に、レウはそれ以上何も言えなかった。
大きな門が開く。
重い音が響く。
中は静かだった。
広い。
とにかく広い。
赤い絨毯。
高い天井。
巨大な窓。
装飾の施された柱。
どれもこれも見たことがない。
落ち着かなかった。
歩くたびに自分の足音が響く。
なんとなく、自分が場違いな気がした。
「こっち」
らっだぁが歩いていく。
城の奥。
長い廊下。
いくつもの部屋。
どれも閉まっている。
「全部使ってるの」
「ほとんど使ってない」
「こんなに部屋あるのに」
「昔からあるから」
雑だった。
説明になっていない。
やがて一つの部屋の前で止まる。
扉が開く。
そこは客室のようだった。
大きなベッド。
本棚。
机。
窓。
十分すぎるほど広い。
レウが住んでいた小屋よりも、当たり前のように大きい。
「ここ」
「え」
「使っていいよ」
思わず二度見する。
やっぱり変わらない。
「俺が?」
「他に誰がいるの」
「いや、」
混乱していた。
こんな部屋を与えられる理由が分からない。
らっだぁは平然としている。
まるで当たり前みたいに。
「今日から君の部屋」
「いいの?」
「もう決めたから」
「俺、今日初めて会ったのに」
「知ってる」
「怖くないの」
「別に」
即答だった。
レウは黙る。
らっだぁは本当に変だ。
人間を警戒しない。
見返りを求めない。
何も聞かない。
何も奪わない。
それなのに。
嘘をついているようにも見えない。
「命令」
突然らっだぁが言った。
「何」
「寝て」
「え」
「君が眠そうだから」
レウは反射的に否定しようとして、
欠伸をした。
完璧と言えるくらいのタイミングだった。
らっだぁが笑う。
ほんの少しだけ。
「ほら、眠いんじゃん」
「……」
「寝なよ」
レウはベッドを見る。
柔らかそうだった。
今まで藁の上でしか寝たことがないから、触れるのも少し怖いくらいだった。
「寝ないの?」
「…寝る」
「命令だから?」
「いや、」
少し考えて、レウは答えた。
「眠い、から」
らっだぁが目を丸くした。
それから、どこか満足そうに頷いた。
これもまた、初めて見る表情だった。
「そう」
短い返事をして、らっだぁは扉へ向かう。
出ていくのだろう。
レウはふと思った。
この部屋は温かい。
安全だ。
柔らかいベッドもある。
鍵もない。
鎖もない。
でも。
一つだけ気になることがあった。
「ねえ」
らっだぁが振り返る。
「何?」
「明日になったら」
少し迷う。
自分でも何を聞いているのか分からなかった。
「追い出したりしない?」
沈黙が落ちた。
らっだぁは何も言わない。
聞かなければよかったかもしれない。
そう思った時だった。
「しないよ」
静かな声だった。
「なんで」
「君がいるから」
レウは目を瞬かせる。
意味が分からない。
「どういうこと」
「そのまま」
らっだぁは少しだけ視線を逸らした。
「広すぎるんだよね」
ぽつりと呟く。
「この城」
それだけ言って、今度こそ部屋を出ていった。
扉が閉まる。
レウはしばらく動けなかった。
”広すぎるんだよね”。
その言葉が頭に残っていた。
この城に。
この大きな城に。
たった一人。
何年も。
何十年も。
何百年も。
住んでいたのだろうか。
ベッドへ腰を下ろす。
身体が柔らかく包まれて沈み込む。
信じられないくらい、温かかった。
レウはゆっくり横になる。
窓の外には月が見えた。
もう鎖はない。
明日がある。
その事実が不思議だった。
生まれて初めて、生きることを許された気がした。
目を閉じる。
意識が沈む。
眠りに落ちる直前。
初めて、明日が少し楽しみだと感じた。
NEXT=♡1000
赤い瞳と青い瞳の設定、個人的に 正反対の2人って感じで好きです✨
コメント
5件
らっだぁの雑な返事とか、必要最低限喋らない感じとか、会話になってないところとか、もう全部好きですw ずっとでっかい城に1人で住んでたんだから、心の中ではれうさんが来たの本当は嬉しかったり...? やだもうツンデレᰔw 正反対の2人が一緒にいるっていいですよね!(❁´ω`❁) 続き楽しみに待ってます✨