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こにゃ
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#らっだぁ運営
青槍 未来
115
夜道は長かった。
燃える集落の明かりが見えなくなっても、二人は歩き続けた。
らっだぁはほとんど喋らない。
先を歩いているだけだ。
道案内をしているようにも見えない。
ただ迷いなく進んでいる。
レウは数歩後ろを歩いていた。
静かだった。
虫の声。
風が木々を揺らす音。
自分の足音。
それだけ。
「遠いの?」
前を歩く背中に尋ねる。
「遠い」
返事は短かった。
「どれくらい」
「歩けば着く」
「聞いた俺が馬鹿だった」
「そうだね」
即答だった。
レウはため息を吐いた。
やっぱり変なやつだ。
助けられた直後でなければ、とっくに引き返していたかもしれない。
いや。
引き返す場所なんてなかった。
だから結局、ついてきていたのだろう。
そんなことを考えていると、前を歩いていたらっだぁが突然立ち止まった。
「どうしたの」
「命令」
「え」
「右を見て」
言われるまま視線を向ける。
森の隙間から夜空が見えた。
星が散っている。
初めて見る景色だった。
集落では高い柵と建物に囲まれていた。
鎖の届く範囲が世界のすべてだった。
こんな空を見たことがなかった。
「……綺麗」
思わず呟く。
「そう?」
「うん」
「見慣れてるから分かんないや」
らっだぁは興味なさそうだった。
レウは少し笑った。
「変な命令」
「嫌だった?」
「別に」
むしろ、少しだけ嬉しかった。
やがて森が開けた。
レウは思わず足を止めた。
目の前にあったものが予想以上だったからだ。
城だった。
本当に。
冗談みたいな大きさの城だった。
黒い石で作られた巨大な建物。
高い塔。
鋭い屋根。
月明かりを浴びて静かに立っている。
まるで昔話の中に迷い込んだみたいだった。
「……でか」
感想はそれだけだった。
「でかいよ」
らっだぁが頷く。
「住んでるの?」
「うん」
「一人で?」
「うん」
もう一度城を見上げる。
やっぱり大きい。
どう考えても一人で住む大きさじゃない。
「⋯寂しくないの?」
何気なく聞いた。
らっだぁは少し考えた。
「もう慣れたよ」
その返事に、レウはそれ以上何も言えなかった。
大きな門が開く。
重い音が響く。
中は静かだった。
広い。
とにかく広い。
赤い絨毯。
高い天井。
巨大な窓。
装飾の施された柱。
どれもこれも見たことがない。
落ち着かなかった。
歩くたびに自分の足音が響く。
なんとなく、自分が場違いな気がした。
「こっち」
らっだぁが歩いていく。
城の奥。
長い廊下。
いくつもの部屋。
どれも閉まっている。
「全部使ってるの」
「ほとんど使ってない」
「こんなに部屋あるのに」
「昔からあるから」
雑だった。
説明になっていない。
やがて一つの部屋の前で止まる。
扉が開く。
そこは客室のようだった。
大きなベッド。
本棚。
机。
窓。
十分すぎるほど広い。
レウが住んでいた小屋よりも、当たり前のように大きい。
「ここ」
「え」
「使っていいよ」
思わず二度見する。
やっぱり変わらない。
「俺が?」
「他に誰がいるの」
「いや、」
混乱していた。
こんな部屋を与えられる理由が分からない。
らっだぁは平然としている。
まるで当たり前みたいに。
「今日から君の部屋」
「いいの?」
「もう決めたから」
「俺、今日初めて会ったのに」
「知ってる」
「怖くないの」
「別に」
即答だった。
レウは黙る。
らっだぁは本当に変だ。
人間を警戒しない。
見返りを求めない。
何も聞かない。
何も奪わない。
それなのに。
嘘をついているようにも見えない。
「命令」
突然らっだぁが言った。
「何」
「寝て」
「え」
「君が眠そうだから」
レウは反射的に否定しようとして、
欠伸をした。
完璧と言えるくらいのタイミングだった。
らっだぁが笑う。
ほんの少しだけ。
「ほら、眠いんじゃん」
「……」
「寝なよ」
レウはベッドを見る。
柔らかそうだった。
今まで藁の上でしか寝たことがないから、触れるのも少し怖いくらいだった。
「寝ないの?」
「…寝る」
「命令だから?」
「いや、」
少し考えて、レウは答えた。
「眠い、から」
らっだぁが目を丸くした。
それから、どこか満足そうに頷いた。
これもまた、初めて見る表情だった。
「そう」
短い返事をして、らっだぁは扉へ向かう。
出ていくのだろう。
レウはふと思った。
この部屋は温かい。
安全だ。
柔らかいベッドもある。
鍵もない。
鎖もない。
でも。
一つだけ気になることがあった。
「ねえ」
らっだぁが振り返る。
「何?」
「明日になったら」
少し迷う。
自分でも何を聞いているのか分からなかった。
「追い出したりしない?」
沈黙が落ちた。
らっだぁは何も言わない。
聞かなければよかったかもしれない。
そう思った時だった。
「しないよ」
静かな声だった。
「なんで」
「君がいるから」
レウは目を瞬かせる。
意味が分からない。
「どういうこと」
「そのまま」
らっだぁは少しだけ視線を逸らした。
「広すぎるんだよね」
ぽつりと呟く。
「この城」
それだけ言って、今度こそ部屋を出ていった。
扉が閉まる。
レウはしばらく動けなかった。
”広すぎるんだよね”。
その言葉が頭に残っていた。
この城に。
この大きな城に。
たった一人。
何年も。
何十年も。
何百年も。
住んでいたのだろうか。
ベッドへ腰を下ろす。
身体が柔らかく包まれて沈み込む。
信じられないくらい、温かかった。
レウはゆっくり横になる。
窓の外には月が見えた。
もう鎖はない。
明日がある。
その事実が不思議だった。
生まれて初めて、生きることを許された気がした。
目を閉じる。
意識が沈む。
眠りに落ちる直前。
初めて、明日が少し楽しみだと感じた。
NEXT=♡1000
赤い瞳と青い瞳の設定、個人的に 正反対の2人って感じで好きです✨
コメント
5件
らっだぁの雑な返事とか、必要最低限喋らない感じとか、会話になってないところとか、もう全部好きですw ずっとでっかい城に1人で住んでたんだから、心の中ではれうさんが来たの本当は嬉しかったり...? やだもうツンデレᰔw 正反対の2人が一緒にいるっていいですよね!(❁´ω`❁) 続き楽しみに待ってます✨