次第に雨が止んで、天気の良い快晴。なんでこんなときに快晴になるんだろうな。おれ、やっぱ運に愛されてないな…。
「…ぺいん、ご苦労」
「署長。このニット帽が…で、……。」
「では、……、…!……?」
聞きたくない。声が嫌い、世界が嫌い。青井らだおは幸せ。レダーヨージローも幸せ。らっだぁは幸せじゃない。
うるさい、うるさい。何が主の願いが現れるだ。何が悪夢だ、疲労だ。そんなわけない。おれは、おれは…
「ふ…、ぁっ、ぅ、ッ」
らっだぁ、なのか…?
「…おい」
「つぼ浦、さん」
「…歪みねぇ。面倒になってきたな、ちくしょう」
「………」
「名前、教えろ」
「いやです」
「…もういいよ。教えなくて」
つぼ浦さんは、悲しいような悔しいような。“辛い“とおれに訴えかけているような。おれだってつらいよ。もう消えてしまいたいんだよ?
「つぼ、らさんは」
「…なんだ?」
「つらいですか」
感情が乗らない声を聞いたつぼうらさんは、少しびっくりしたあとににかっと笑って見せた。
「…人間ってのは、誰でも辛いときがあるんだ。俺だってそうだ、エリートでも。他の人…まあ先輩だな、いつも先輩に迷惑掛けて。だけどその先輩は「つぼ浦~!」って笑って怒ってくれんだよ。アオセンは、一番疲れてて笑いたくないはずなのにさ」
「そうなんですね、せんぱい、優しくてよかったですね、」
「…お前はさ」
「はい」
「幸せって何だと思ってんだ?」
幸せなんて、ないはずだよ。そんなもの無いんだ。
「ない、と思います」
「幸せが、か?」
「は…ぃ」
「まあ人それぞれだからな、考え方は
…俺はいつでも幸せだよ」
「…なんでですか、」
「結局、生きられててさ。人生を楽しんでるし、喋ってるし、ご飯も食べるし、人生は、平凡が一番なんだって思うぞ」
“幸せ“ だったんだな。おれ。
「…つぼ浦さん」
「…なんだ」
「らっだぁは、幸せだったと思いますか?」
「ふ、それがお前の名前か?
…幸せだったんだろうよ 」
つぼ浦さんと話していると、伊藤ぺいん刑事と署長らしき人がこっちに向かってきた。
「…とりあえず、名前は?」
「…ふふ…w」
「つぼつぼ、何を笑っている…。これは重要な事件であって…」
「おれは…らっだぁです」
「…らっだぁくんね」
ぺいん刑事は、嬉しいような悲しいような、それとも“安心“しているような顔をして、少し息を吐くと、ふふっと顔をしかめて笑いだした。
「署長、で…このらっだぁくんはどうしますか?」
「…保護するしかないだろう」
「いや、違います」
「何か案があるのか?つぼつぼ」
「きっと、らっだぁは
…もう、大丈夫ですから」
「…どういう、」
「……署長、らっだぁくんが、居なくなってます」
__らっだぁを終了します。
「…ふー、なあ、ゴミ…いや、やっぱAI」
__なんでしょうか。
「なんでおれさ、ストグラを“らっだぁ“としてスタートしたんだっけ」
__…覚えていませんか?主が、寝ていて起きたときに独り言が激しく、そして…ずっと、何かに対して謝っていました。
「…それって、嫌いにならないでとか言ってたか?」
__はい。
「そっ、か…おれ、やっぱ疲れてただけなのか」
__疲労はたまっていたようですね。
「それで、歪みのせいでらっだぁが生命として生まれたのか…馬鹿らし」
__そろそろ、止めて休んだらどうですか。
「あーいや。ちょっとやろうかな」
__レダーヨージローですか?それとも、青井らだおですか?
「…じゃあ、
どっちも」
青井らだお・レダーヨージローを起動します。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!