テラーノベル
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夏。ギラギラと日差しが襖の奥まで照りつける。
夕暮れ時、縁側で抹 茶を啜る。
あの子のために、と茶菓子も用意してある。
見ず知らずだった子。だが、不思議と嫌な感じはしない。
寧ろ、有意義な夏のひと時でもある。
風が風鈴を揺らす。チリン、と心地の良い音が部屋に響いては消えていく。
まるでデクレシェンドのようだ。
今日も今日とて軽快なノックが響く。打楽器か、指揮者か。あるいは両方かもしれない。
戸を開けると、ペコリとお辞儀した。
「こんにちは。今日も遊びに来ました。」
さっきまでの静かな雰囲気とはまた違った雰囲気。
居心地が良いことには変わりない。
リビングへと通すと、その二つの目は縁側へと向いた。
なんとも可愛らしい仕草に思わず口角が上がってしまう。
その視線はこの前紹介して貰った風鈴や和菓子、抹茶に釘付けだった。
「前、教えてくれたものを早速取り入れてみたんだ…」
少し、照れ臭そうに答えた。
「…凄いです…今度…ドイツさんの所の日本街に連れて行って欲しいです…」
なんとも可愛い頼みだった。
こんなにも、甘やかしてしまいたいと思ってしまう俺は重症なんだろうか。
それほど可愛いんだ。
美しいんだ。
茜が藍に染まる頃、あの子はせっせと帰宅の準備を進めていた。
別れの時間が惜しいが、大の大人が文句なんか言ってはいられない。
初夏の夜は少し肌寒く、ひんやり冷えた風が頬を撫でる。
擽ったいが為、反射的に片目を閉じる。
「そろそろ帰りますね。」
1つの声が響く。時間というものはなんとも残酷なものだ。
見送るため、靴を履いて外に出る。
「また明日、来ますね。」
また明日。その言葉だけが自分の頭の中で反響する。
くるり、とこちらに背中を向け、歩き出す。
その背中を見送るが、あの子の足はまだ数mしか距離が空いていない。
歩幅はアッチェレランドだ。
段々と暗黒に消えていく背中を、ずっと見つめていた。
静かになったリビングへと戻る。
外の風鈴がまた音を鳴らす。
今度はツェーフィーアの音だった。楽譜で表すなら、必ずトランクイロがついているだろう。
穏やかな夏の夜のひととき。
今日も曲作りに専念する。
疲れた時に、と渡すための曲を作る。
最近は隈が酷くなってきた。
部活や勉強漬けで忙しいのだろう。
あの子の為に、あの子だけの為に。時間を割いて無心で曲調を調整する。
メトロノームの針が左右を往復する。
その音がリビング全体に駆け巡った。
ドルチェを多めに、グラーヴェも少し。まるで料理でもするかのように楽譜に書き込んではピアノで音を確かめる。
夏は…まだ終わらない。
即席ラーメンのようなスピードで書いたのでところどころダメダメです…
音楽用語入れたので良ければ調べてください。
ドイツ語の用語は種類少なくて…大体イタリア語なのは許してください。
以上です。 では…
#空自
機械音痴な人間
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コメント
5件
ひゃぁぁぃあ(奇声) なんかもう文才がとんでもないですね。尊敬しすぎます。 いやもう本当に尊敬します。 表現力と語彙力がとんでもないですね…その上発想力もありますし… すごく好きです…。
わぁぁぁぁもう尊い文才が爆発されてますね!?!?かわちぃ…音楽用語調べなきゃです(←デクレシェンドとドルチェしかわからなかった人)何故…なぜその発想が…食べていいですか消化しますね(は?)
あ〜〜〜〜っ、これめっちゃエモいやつやん!!😭💕💕 「あの子」のために風鈴や和菓子、抹茶を取り入れて、さらには曲まで作ってる主人公の優しさに胸キュンが止まらない…!!「甘やかしてしまいたいと思ってしまう俺は重症なんだろうか」ってセリフ、完全に沼入り確定の自覚症状じゃないですか??🫠💘 音楽用語で心情や空気感を表現してるのがオシャレすぎて泣ける…デクレシェンド→アッチェレランド→ツェーフィーアの流れ、夏の夕方から夜への時間の移ろいとリンクしてて天才的でした✨ 続き、マジで気になる…!!「また明日」って言える関係尊すぎるよ〜〜🌸