第2章「仄暗い願い」その19
修介は、何となく赤鐘佐和子が苦手だった。
嫌い、というわけではない。
姫乃への当たりが強いこと、それなのに姫乃からの好感度がやたら高いことは気になるといえば、気になるけれど。
それ以上に――何だか得体の知れない感じがするからだ。
そんな相手と二人だけで話すことにしたのは、ただ赤鐘と安藤に接点があるというだけではない。
――姫乃や香島たちとこれから堂々と付き合っていくには、それくらい出来たほうがいい、と思ったから。
そうやって色々自分に暗示をかけつつ、修介は赤鐘の後を追う。
ふと、赤鐘の後ろ姿が曲がり角(かど)に消えた。
同じようにその角を曲がる修介だが――その先に広がる廊下に、赤鐘の姿はなかった。
「……あれ」
「――意外と視野(しや)が狭(せま)いのね」
「!」
声が聞こえたのは、修介の斜め後ろ――廊下の壁際(かべぎわ)。 ****************************
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