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この作品は、実在する実況者様たちの名前をお借りした二次創作となっております。
御本人たちとはなんの関係もございません。
腐向けではありません
nmmnを取り扱っております。
それでは、どうぞ_______________
年の瀬で随分浮かれた空気を醸し出す店に足を踏み入れた。いつもならお一人様上等、仕事用のコーヒー一杯上等の店に、お洒落な服を着た若者しかいない。自分も世間的には若い部類なのだが、連れが男というだけで悪目立ちしてしまう。もっともその本人は何も気にしてはいないだろうが。
店内を高身長なりに見渡す程、居心地が悪くなる。メニュー表を開いても男二人が頼むには可愛らしすぎるものばかり。
「なあこのハート描かれたパンケーキ食べる?」
「なにが悲しくて男と食べなあかんの」
「冗談やし。俺もお前と食べる気はない。一切ない」
言い出しっぺには其れなりの責任があるというものだ。意地悪を思いついてしまったが、それを顔に出してばらすまで馬鹿ではない。
ピンポーン、と間の抜けた音を出して店員を呼ぶ。心なしか顔に疲れが見える若い女性が対応してくれる。好みではない。
コーヒーゼリーで、じゃあ俺はペペロンチーノで、後コイツの分のパンケーキもお願いします!おい何言うとんねん!痛い蹴るな!
まだ理性はあるため小声だ。
こんな珍客は初めてなのか、随分動揺しながらコーヒーゼリー1つ、ペペロンチーノ1つ、…パンケーキ1つ…で宜しいでしょうか、と尋ねてくる。文句を言おうとする口を塞ぎ満面の笑みで大丈夫です、と答えた。不安そうにコイツを一瞥した後、かしこまりましたと去っていった。
後に残ったのは目の奥で怒っているコイツだけだ。これは払わされるなとぼんやり思いながら炭酸を流し込んだ。
「払えよ」
「俺今月ギリギリやねんけど」
「貢ぐ女もおらんやろ」
今日一番心をえぐった。
煽るときはさっきと打ってかわって愉しそうな目をしている。心底腹立たしい。
小さなゼリーに、ボリューム満天なパスタ。そして何より存在感があるハートのパンケーキ。運んできた店員が綺麗な二度見をしていった。俺ら店員の間で噂になるかな、なんて考えながら麺を巻いたフォークを口に運ぶ。旨い。
目の前の沈んだ奴はちびちびと黒いゼリーを消費している。赤いソースのハート型が滑稽に思えた。写真を撮ろうかとも考えたが、まだ死にたくないので止めた。財布の中身をとことん使わさせられるに決まっている。
勿論全部食べさせようだなんて思っていない。コイツが少食なのは百も承知だし、頼んだのは俺だ。
だからハートの真ん中で切り分けてやった。ウン、俺優しいな!
「…それどういう意味?」
「普通シェアするやろ」
「食べる気ないけど」
「やから半分こ。お前全部無理やろ?」
「半分ですら食べたくないで」
ジト目で反抗してくるので、無視して大きい一口を頬張った。時期が早めの苺ソースは甘い。盛られていたホイップクリームをたっぷりのせて、添えられた蜂蜜もつけて。コイツが食べないと分かっている分、美味しく頂く。
はあとため息を着いてフォークを手に取った。ナイフを使わずフォークで大胆に切り、口に入れる。
「結局食べてるやん」
「…………ング、どんだけ言っても食べさせる気やったやろ」
「正解」
端から見れば、表情が間反対の男二人がパンケーキをシェアしている。面白いことこの上ないんだろう。こっちをみて指差し笑う女子高生を横目に、食べるのを手伝ってやった。
お会計時に店員の口元に笑みがあったのは気のせいか。会議とかで話題にされるんかな。ええけど。
「酒飲みたい」
「この前忘年会したやん」
「うん」
知ってる、とやけに素直だ。
家の中に入れたら見れるのだろうか。もう名前を呼んでも良いのだろう。
「ショッピは想像できた?」
「何を」
「我々だの一員になること」
「出来るわけないやろ。怒りに任せて先輩と絶縁してたらここにおらんかったし」
「まああの人はショッピが絶縁してようと引きずりこんどったと思うで」
「……そう言うチーノはどうなん」
「お?照れてる?もしかして?」
「………」
「まあ想像なんかできんよ。当たり前。一生サラリーマンなんを疑ってなかった」
「お前は所得多いからええねん」
「ショッピも散財癖治したら?」
ムリ、と笑うほぼ同期の彼。
ほろ酔いの感覚に二人で浸りながら、時計が
00:00
と表示するのを見た。
もう今年も残り少ない。
みなさんどうも、夜魔です。
完結しそうで完結しないよ。
まだ続くのよ!(魂の叫び)
年は跨ぎます。なのでこの作品が2022年最後になります。
みなさんは今年一年楽しかったですか?私は満足ですよ。
それでは、良いお年を!