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今日も今日とて💚💙
第十一話 美肌日和〜夜の本音
翔太side
今日も今日とて愛されたい。
言えない言葉が大渋滞。
甘えたいのに甘えられない。
見透かしたようにクスッと笑った亮平の笑顔に、胸がドキドキ騒がしい。
ブランケットの中は、思っていたより狭いのに、どうしてこんなに安心するんだろう。
触れている腕の重さが、ちゃんとここにいる証みたいで、少しだけ息を整える。
……でも。
もっと近くにいたい。
言葉にするほどじゃないけれど、胸の奥で確かに揺れている想い。俺はそっと、亮平のシャツの裾を摘んだ。引き寄せるほどの勇気はない。ただ、そこにあると確かめるだけ。
布越しの体温が、じんわり指先に移ってくる。
これ以上を望んだら、困らせてしまうかもしれない。
忙しいことも、疲れていることも、ちゃんと分かっているから。
だから、言わない。
言えない、の方が近いけれど。
腕の中で、呼吸が同じ速さになる。
胸に頬を寄せると、心音がゆっくり響いた。
――ああ、やっぱり好き。
ちゃんと抱きしめられているのに、
それでも少しだけ、足りないと思ってしまう。
でも。
裾を摘んだ指に、そっと手が重なった。
どくん、と胸が鳴る。
見抜かれた、と思った。
嬉しくて、恥ずかしくて、逃げたくなる。
けれど次の瞬間、その手はゆるく裾を直すみたいに動いて、すぐ離れた。
……あ。
ただ、皺を伸ばしただけ。
たまたま触れただけ。
勝手に期待して、勝手に跳ねて。
じわっと顔が熱くなる。やっぱり、わがままだ。
ちゃんと抱きしめられているのに、それ以上を望むなんて。
摘んでいた指を、そっと離そうとしたそのとき。
今度は、はっきりと。
裾ごと、ぎゅっと握られた。
「……離すなよ」
低い声が、すぐ上から落ちる。寝ていると思っていたのに。
「ばれてないとでも思った?」
くすっと、と小さな笑い。
胸の奥が一気にほどける。誤解だったのは、自分のほうだ。
ちゃんと見られていて、
ちゃんと選ばれていて、
ちゃんと甘やかされている。
「もっと寄っていい?」
「いちいち聞くなよ――おいで」
裾じゃなくて、今はちゃんと腕の中。
「ねぇそれだけでいいの?」
捉えるような瞳に、喉が鳴る。
「大丈夫ですこれ以上はむり……心臓が」
「またそれ?」
くす、と笑う声が近い。
「翔太さん、ドキドキ騒がしい」
「亮平さんのせい――」
「じゃあ責任取る」
「ど……どうやって」
「知ってるくせに」
一瞬だけ視線が絡む。
逃げ場がないのに、逃げたくない。絡めた指先が、ぎゅっと強くなる。シャツ越しの体温がじわりと広がる。
「待っ……」
「……待ったなしだ、バカ」
言葉は乱暴なのに、触れ方は、やさしい。
唇が重なる。
深くはない。
でも、長い。
呼吸が混ざって、境界が曖昧になる。
笑われて、見抜かれて、それでもちゃんと、選ばれている。
ずるい。亮平の唇が離れていく――
「……もっと」
自分でも驚くほど素直な声。
亮平は少し目を細める。
「聞こえちゃった。もう、なかったことにはしてあげない」
今度は、ちゃんと抱き寄せられる。
荒い言葉とは裏腹に、時間を大事にするみたいに、ゆっくり。
縮まった距離が熱を帯びる。
夜の静けさに体温がゆっくり溶けていく。重ねられた唇は、離れることを拒み、吸い付くように亮平を求めた。
「積極的だね?」
「リョウ……もっといっぱい欲しい」
「ふふっ欲しがりさんだこと。後ろ向いてちゃんと気持ちよくなろう」
「えっ…やっ待ってちょっと、ヤダ違う///」
手際よく脱がされると、明るいリビングに晒され、恥ずかしくって手繰り寄せたブランケットは〝だぁめ〟だなんて言われて、静かにソファから落ちた。
これだから自分から誘いたくないんだ……
亮平は太腿を抱き抱えて動きを塞ぐと、後孔に舌を這わした。
「やだったらぁ……ンンンンッあっあん」
「知ってるよ?翔太のイヤはイイってこと」
亮平の指が侵入してきて、肩を窄める。両手で口を塞いで快感に耐える。耳元に擦り寄った亮平の頰が柔らかく触れて、香水が優しく香った。
「ンンンンッ///あんっ」
「可愛い翔太//気持ちいいことに集中しな」
同時に屹立を扱かれて腰が振れる。亮平は嬉しそうに目を細めて首筋に唇を押し付けると優しく頭を撫でた。
腰を掴んだ亮平は自身の熱茎を押し付けるとゆっくりと中へと挿入ってきた。
「顔見えない」
「じゃあ手繋ごう……」
「んんっりょうへい……奥までキテ」
リビングに二人の愛し合う音が響いた夜。
少しだけ亮平に素直になれた日。
綺麗に整えたブランケットは床に落ち、定位置に戻されたはずのクッションは、俺が掴んで覆い被さっている。
亮平の安らぎの為に保全に努めたはずのリビングで、あろうことが抱かれるなんて。
「ごめんね綺麗に整えたのに」
「へっ?」
まっまさかバレてないよな、俺の変態……いや隠密活動。
「いつもリビング綺麗にしてくれてありがとうね」
あっ掃除って意味ね……焦った。
今日も今日とて愛したい。
あなたに好きが言いたくて、素直になれない僕だけど。
二人で包まるブランケットのように――
触れ合った温もりは、
言葉の代わりに、ちゃんと伝わっていた。
好きはうまく言えないけれど、隠しきれてもいない。
だから――
嫌いになんて、ならないでね。
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