リーズ国に近づけば、近づくほど
どんどん空の色が濃ゆくなってきた。
まるで…宇宙に近づいたような感覚だ。
頭がクラクラする。
…そんな俺とは違い、ララは__
「ラララ〜♪」
鼻歌を歌っている。
やっぱ幻獣は不思議だ。
こんな状況でも平気らしい。
(あ、街が見えてきた!)
窓から下を覗くと
まるで人間界のような街があった。
「ララ!多分ここだ。」
俺が言うとララが頷く。
「分かってるわよ。
今から下に降りるからジッとしてなさい。」
ララが言うと下にグーッと降りていった。
一気に俺と家具が傾き、リーズ国へ到着した。
扉を開けてララの家から出ると
人間界と似た所へ出た。
「ふん。人間界と似てるわね。
なのに敵対?信じられないわ。」
ララが言う。俺もそれには同感だ。
「ここだけかもしれねぇ。先へ進むぞ。」
俺はそう言いララとリーズ街へ行った。
「いらっしゃっせ!交渉しやせんか?」
街へ入ると、小さなゴブリンに話しかけられた。
どうやら交渉人らしい。
「…交渉しない。
それより人間界と敵対してる理由を教えろ。」
ゴブリンに言うと
ゴブリンが何かに気づいたように答えた。
「…はぁ。ある日のことでやんす。
人間の野郎はゴブリンを捕まえて
煮て食いやがったんでやんす。それに我々、大激怒。
あれからは敵対心が芽生えてそのまんまでやんす。」
「貴方も人間だし…
こちらは交渉するまで通せやせんよ。」
ゴブリンが小さな剣を構える。
俺もナックルダスターを構え、殴りかかった。
鉄の部分で頭を殴り倒すと
ゴブリンは失神して動かなくなった。
「…これでヨシ。」
俺は『フー』と息を吐き、
その場をあとにする。
「ロウヴェス…暴力的すぎじゃない?
話し合いとか色々あるでしょ。」
ララがため息をつく。
だが暴力的という言葉に反応し、
俺は言い返してしまった。
「うるせぇな!こうするしかねぇんだよ!」
カッと言うとララが肩を縮める。
それからは、なんとも言えない雰囲気で
街中を歩き回っていた。
小さな店が沢山並んでいる。
売っているものを見てみれば、それは剣や槍。
あっても一切れのパンにチーズ。
それも賞味期限を疑うような古いものであった。
(多分、人間界のものを輸入しないせいで
生活が困難なんだろうな…売れてねぇし。)
小さなパンを持って、そう思った。
それと同時に「和解すれば豊かになるのでは?」
とも考えてしまった。そして、そのことを
ララに伝えようとするとララが消えていた。
(…んでこんなときに居なくなるんだよ)
呆れに呆れながらも
周囲を探したがまったく居なかった。
(何処行ったんだよ…)
時間が経つにつれて心配になり
周囲のゴブリンに聞いて回ることにした。
「おい、ここで深海色の
ハウスドラゴン見なかったか?」
俺が聞くと
ゴブリンが答える。
「あぁ。確か、王様のところ行ったよ。」
「王様ぁ?」
「そう。東にある大きな建物のところ。」
ゴブリンが大きな建物を指を指し言った。
「分かった。ありがとう。」
俺は礼を言い、王様?のところまで走っていった。
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