テラーノベル
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♯5「ラベンダー」
※青桃
※エセ関西弁
※御本人様とは関係ありません
青さん視点から始まります
ーーーーー
「えーっと、何処にあったっけなぁ」
「そもそも何処に行ってるの?」
「んー?それは行ってからのお楽しみ」
ずっと前からないこと行ってみたかったあの場所。
やっと約束が果たせる__。
「えー?何だろうなぁ」
神社で出会った時と比べ、かなり表情が豊かになったないこ。昔に戻ったようで俺自身とても嬉しかった。
匂いが好きなのも前と変わらない、俺だけが知ってる秘密。
「確かそこに行く目印があったんよな」
確か……光、ランプが吊るしてある……
「小さい塔!!」
「うわ、びっくりした…その小さい塔を探せば見つかるの?」
「そう、屋根が桃色やった気がする」
夜の方がランプが光って見つけやすかったはずだから、きっと薄暗くなっている今は丁度いいだろう。
「よーし、塔探しに行くで」
「じゃあないこ、上乗って」
「……はい??」
「何でまろに乗る必要があるの?」
「地上に真っ逆さま___」
「乗ります、乗らせてください」
「んはは、背中に乗ってな」
照れくさそうに躊躇いながら乗るないこを催促しつつ、しっかりと足に腕を絡める。
「舌噛まんようにな」
軽く忠告して勢いよくさらに上空へと上がっていく。
宙に抗って上がっていくこの感じが何回やっても好きだった。
ないこが気になって少し振り向くと、下を噛まないように必死に口を閉じて、首に手を回していた。
でもその瞳には怯えではなく楽しんでいるのが丸わかりなくらい煌めきがあった。
暫く地上を見下ろして探しているとと北側に微かな輝きが目に入る。きっとあそこに違いない。
「ないこ、塔は見つけたからもう降りてええよ」
声を掛けても返事が来ない。もしやあまりの気圧に気絶して___
「……寝てる」
ただただ気持ちよさそうに寝ているだけだった、心配して損したかも。
それにしてもこんな宙に浮いている状態で寝れるものなのか、それとも余程疲れているのだろうか。
「……いや、ちゃうな」
そろそろなんやろうなぁ、感覚が失われるまで。
「しゃあなし、着くまでおんぶしてやるかぁ」
目的の場所まで少しずつ降りていった。
ーーーー
「ないこ、起きて」
「…ん、……んぅ」
「起きて、はよ、」
「……起きろ!!!!」
「ぁい…声でかい、……起きた、起きたから…」
「……あと5分」
「起きてねぇな??」
ゆさゆさと体を揺すぶられる。まだ眠たいのに。
「もー何なんだよ」
なんていいつつ、顔を上げるとそこにはラベンダーが辺り一面に広がっていた。
「……ラベンダー、?」
「どう?いい匂いせぇへん?」
空気を吸ってみると全身にラベンダーの独特な香りが伝わってくる。
「……凄く良い匂い」
「ここにどうしても来たかったんよな、ないこと来れてよかった」
心底嬉しそうに笑うまろの横顔がどうしても目に焼き付けたくなった。
「そんなに来たかったの?」
「うん、死ぬまでにやりたいこと2位に入るくらいやな」
「じゃあ1位は?」
「……それは、」
目を細めこちらに視線を向けて、口元に人差し指を置く。
「……内緒♡」
「もう知らん」
「待って待ってごめんやーん」
悪気なさそうにけらけらと笑いながら謝ってくる。こういう奴なのは分かってたけど……!
「まぁ」
「いつか、教えてあげるかもね」
妙に切なそうな雰囲気を乗せ発せられたその言葉は俺の知り得ない何かを物語っていた。
「…ないこがおじいちゃんになった時くらいかな」
「おい」
ーーーー
「それにしてもいい匂いだなぁ」
綺麗な薄紫色で…周りが暗いから見えづらいけど。
「な、ほんといい匂い」
「……まろさ、最近距離近くない?」
「そうか?ないこたんが意識しちゃってるからじゃない?」
「ないこたんはやめて」
ふふっ、とお互いが笑ってまたゆっくりと時間が過ぎる。その些細なことがとても心地良い。
でも、距離が近くなったのは本当だ。話す時もなるべく近くにいる気がするし、それは間違いないと思うんだけど……
「ないこ、見て見て」
「ラベンダー…?」
まろの両手にはラベンダーが抱えられていた。
「おん、ないこにあげる」
「ラベンダーの花言葉は、幸せが来る」
『幸せが来る』……か、
「ないこが幸せになってくれたら俺は嬉しいから」
「やから、これからもずっと笑ってて」
「な、!」
受け取ったラベンダーは月光が当たって煌めいて見えた。でも、まろの弾ける笑顔はそれ以上に輝いて目を奪われた。
今が言い表せないくらい、とっても幸せだということは心にひっそり閉じ込めておこう。
♯6「また会おう」
コメント
8件
もう最終話なんだ…😭😭この小説世界観超好きだから見るのひっそり楽しみにしてました…🥲 たまに青さんが意味深な事言うのがめっちゃ気になる🫠
最終話もみに行くよーっ! やばい、泣くが
最終話も見に行くよ~っ‼️ なんか…ね、大好きだわ #また会おう👈🏻やばい😢泣く未来が見えてる😢