ふかふかなベッドに黒が基調の椅子
焦げ茶が特徴的なカーペットに、天井にはガラス細工のきらびやかに輝くシャンデレラ
さらに額縁にはお高そうな絵画が
『……』
控えめにいうと僕は戸惑っていた
無機質に冷えた酸素と錆びた鉄鎖
先の見えない暗黒の静けさに空気感
…これらのおそらく昨日ばかりに目にした光景とは、全くといっていいほど雰囲気が違ったからである
しかし閉じ込められどこかに監禁されていることに関しては、以前と何ら変わりない
お得意の社畜切り替えで目視できるものはすべてチェックしていく
(脱出の鍵の窓は…ある
情報源を掴むためのテレビは…ない
避難経路のドアは…流石にあるか)
どうせ未だにあの人らに捕まっているのだろう
少し従って信用を得た後逃げるか…それとも外部(アメリカさん等)からの応援を待つか…
悶々と脱出のプランを早立てていると、頭がズキリと鈍い音をたてて痛む
衝撃的な痛みに思わず額を押さえると、頭を撫でるようにして後ろから誰かに抱きしめられた
(ッ!?!?)
僕が勢いよく振り返ると、再び鈍い痛みが走った
しかし、それは物理的な痛さだった
そしてすぐに目に飛び込んできたのは、赤と白と緑の色だった
この選色はーーーー
🍕「いてて…日本、急に振り返っちゃダメなんねぇ…」
枢軸国の中の1人、イタリア王国さんだった
イタリア王国もといイタ王さんは痛そうにぶつかった頬をさすっていたが、僕は全くそれどころではなかった
僕は一瞬で恐怖の縄に縛られた
(全く気配を感じなかった…いつからそこに、?)
唖然として彼を見つめていると、何を思ったか照れ臭そうに僕に顔を近づけた
🍕「やだなぁ、日本…」
「そんなにまじまじioをみないでよぉ//」
恥ずかしい、と手で顔を隠す素振りはなんだか少し可愛く見えた…が、
🍕「じゃあ僕も日本のこと見つめちゃうね♡」
僕の手と彼の手同士をするっと絡め合わせたぐらいからその感情は消えた
イタ王さんは先ほどからどうしてか僕の指先と絡めて遊んでいる
ほのぼのとした空気に緊張の糸が緩みそうになるが…油断大敵
申し訳ないがこの状況を利用させてもらおう
僕は、ここは何処なのか尋ねることにした
『あの…僕はなんでこの部屋に…?』
あくまでも確認程度にしなければ
(貪欲は身を食うというように、一歩間違えたら二度と逃げられないかもしれないですからね)
唸る声がすぐ傍から聞こえてくる
…もう数分経ったのだが、
まだなにかを考える素振りをしている
(…もしかして僕、早速地雷をーーーー)
🍕「…あ!やっと思い出したんね!」
『ッ…?』
想定していなかった鼓膜を揺さぶる声にかなり驚く僕に対して、やっと思い出すことができたイタ王さんは、
🍕「まずここのルールを話すんね!」
🍕「えーっとねー!」
笑顔でいきなり話を始めてしまった
ルールか…少し長くなりそうだなぁ…と僕が考えている間、イタ王さんは指と指をなぜかくるくる回していた
イタリア王国が日本にした説明↓
①此処から逃げてはいけない
②出された料理は必ず食べる
③僕らのことをちゃんと”構う”
④ルールは必ず覚えること
🍕「ルールは以上なんね!」
「また言い忘れちゃったらナチに怒られるところだった、ありがとなんね♪」
どうやら欧米特有のハリウッド式笑顔は人を笑顔にさせる効果もあるらしい
やっぱり少しだけこの国が可愛く見える
満円の笑みも束の間
彼は自身の腕時計を見ると、「あ!」と声を荒げ、立ち上がってドアノブに手をかけた
🍕「ご飯作ってあるから、持ってくるんね!」
そして急ぎ足でこの部屋を出ていってしまった
…忙しないなぁ、あの人…
その話はとりあえず置いといて、
僕的にも少し嬉しいことがあった
ズバリそれは…
僕が予想していたルールよりも、
遥かに優しい(?)ということである
(僕がおかしいのかもしれないですけど…この監禁されるのって実は初めてじゃないんですよ…)
日本のサイドムービー①
アメリカに監禁される
日本のサイドムービー②
中国に拉致される
日本のサイドムービー③
ロシアに誘拐される
(以下略)っていうことが今までにありまして…
まぁ、脱走常習犯ってわけですよ
だからこのルールって意外と優しいんです((
監視カメラがあるかもしれないので、僕は心の中でガッツポーズを取った
しかし嬉しい反面、引っかかるものもあった
イタ王さんの言う、ナチ…それはナチスドイツさんのことを指しているのだろうか?
あの人は頭が他国よりもずば抜けてキレると、昔聞いたことがあった
確か…化学が得意だったとか…
情報網が不安定な時期に少し耳にしたようなことだから合ってないかもしれないけど
一応気をつけなければ
ーーーーー
卍「すまない、失礼するぞ」
部屋探索をした後、なんだか難しそうな本が置いてあったのでそれを暇つぶしとして読んでいると、ナチスさんとピザを持ったイタ王さんが現れた
🍕「日本!遅れちゃってごめんなんね〜!」
『いえいえ、全然大丈夫ですよ』
やっぱりナチスさんだったのかぁ…
内心少し気落ちしたが、美味しそうなピザの匂いに僕はテンションが上がってしまった
人って単純だよなぁ…と自分のことを自虐風に例えていると、イタ王さんはそこら辺に置いてあった机にピザをそっと置き、手招きをして僕を呼んだ
そしてなぜか僕は彼に持ち上げられ、ナチスさんの膝の上にストンと座らされた
僕が軽く思考停止をしていると、イタ王さんはチーズたっぷりのピザを持ち上げ、僕の口元へと運んできた
🍕「はい、あ〜ん♡」
羞恥心でパンクしそうになるが、なんとか僕は頭を回して、全く逃げられる状況ではないということに気づいた
大人しく従う他ない
この言葉が頭をよぎったため、仕方なくイタ王さんの持つピザに齧り付いた
トマトとチーズがほどよく溶け込み合い、生地がその旨味を引き立てる
少し齧ることに成功したバジルの苦味も美味
『すごく美味しいです…!』
これは心の底から出た言葉
料理家の彼に拍手を送りたいくらいだった
彼は嬉しそうに頬を染め、もう一口どうぞと言わんばかりに押し付けてくる
僕はまた一口受け取り咀嚼する
久々のファストフードは意外にも美味しいものなんだなぁと、感心した
卍「…日本君、頬にチーズが付いているぞ」
心地よいが、少し苛立ちを含めたようなテノール声が僕に呼びかけてきた
露知らずな僕は、『え、どこですか』と聞こうとしたが、ナチスさんの舌が僕の頬についたチーズを舐め取ったことによって言葉は引っ込んだ
ザラリとした糸状乳頭が皮膚と擦れ合う
卍「…うん、イタリア王国、お前はシェフになれる腕を持っているな」
「感激したよ」
僕が再び思考停止を繰り出している間に、2人はバチバチとした戦いを繰り広げ始めた
🍕「それはありがとなんね、ナチ!」
「”io”だったら、日本のいい”旦那さん”になれそうなんね!」
卍「…あぁ、言い方を少々間違えたな」
「”俺達”が式を挙げる際のコックとして働いて欲しいんだが…」
「伝わってなかったか笑」
いつの間にかナチスさんは僕の腰に腕を巻きつけ、僕の肩から顔を出すようにして彼を挑発している
今にもブチギレそうなイタ王さんは、急に下を俯き、ボソリと放った言葉を反響させた
🍕「…恋人は、身体の相性も大事だよ?」
「ねぇ…ナチ?」
「今から日本に、夜の相性はどっちの方がいいのか決めて貰おうよ」
『…ゑ』
卍「ふむ…なるほど」
「お前にしてはいい提案だな」
(え…僕の発言権は…?)
日本国憲法だったら人権に反する大問題だろう
しかしここはきっと日本ではないであろう”何処か”
僕の権利なんてお構いなしである
卍「じゃあ日本君」
「俺達との”愛”を確かめ合おうな…♡」
(あ、僕〇んだ)
僕をベッドへと運ぼうと準備する2人の瞳は、闘争心メラメラの、どうしてか釘付けになる濃色へと変わっていた
あ、どうもこんにちはきりゅーです
サイドムービー〇〇って何?って思った人、いますよね???
これはコメントで見たいストーリーを言ってくださったら書く物語です!
気になるものがあったらこの3つの中でリクエストお願いします!
あ、あと前回のお話とかとは違う書き方をしているので、けっこう違和感すごいと思います
それは普通に申し訳ないです((ペコ
なんせ3ヶ月前なんで…
ちみちみこちらの方も進めていくつもりですのでよろしくお願いします
続き気になるな〜って人はハート♡とコメント、フォローよろしくお願いします!
コメント
11件
スゥーーーーー最高です( ´ཫ` ) 私は、全部見たいのですが、大丈夫でしょか?もし、可能でしたら全部がいいです!もし無理の場合は、ロシアに誘拐される物語でお願いしますm(_ _)m 次も楽しみにしています!!!(˶ᐢᗜᐢ˶)
続き書いてくださってありがとうございました♪ 今回の話はナチス、イタ王、日本がメインでとても素晴らしかったです あと残り三ヶ月の受験勉強、頑張ってください!
コメント失礼します♪ んんんんんんんん、主さんってほんとに人間ですか?(良い意味で) ストーリーとかめちゃくちゃ好きですし、文章の書き方とかめちゃくちゃ好みですし、ちょっとクスッとしてしまうような小ネタも入ってますし...(早口) 神ですかッ!?神ですよねッ!? サイドストーリー...、全部見たいッ、見たいッ、けど!!特にアメリカさんとの話が見たいです。 次回楽しみに待ってます✨️✨️✨️