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「ついに終わったか…」
伊吹丸は静かに剣を下ろし、周囲を見渡した。宇宙戦争は終結し、巨神を倒したことで世界に平和が訪れるはずだった。しかし、その瞬間、伊吹丸の体に異変が起こり始めた。
マドレシスとコンタが近づく中、伊吹丸の体から光が漏れ出し、彼自身もその原因に気づかないまま、膝をついてしまった。
「これは…?」
マドレシスは目を見開き、深刻な顔で口を開いた。
「伊吹丸、お前の力が限界を迎えたようだ。」
伊吹丸が長年使い続けてきた「無」と「有」の異能。その力の行使が、宇宙戦争の終結によって反動を生み、彼自身の存在を蝕んでいたのだ。不死性は崩れ、伊吹丸は自らの死を悟った。
「終わりか。だが、これもまた運命なのだろう。」
彼は苦しげに微笑みながら、マドレシスとコンタに目を向けた。
マドレシスは神としての使命を果たし、黙って見守るだけだった。しかし、コンタは伊吹丸の肩をつかみ、必死に声を上げた。
「お前がいないと、世界はどうなるんだ! どうすればいいんだよ!」
伊吹丸は微かに首を振った。
「役目はもう終わった。後はお前たちが新しい未来を築いていくんだ。」
そして、伊吹丸は静かに息を引き取った。彼の死は、世界の大きな転換点を意味していた。しかし、その直後、異変が起こった。
伊吹丸の遺体が地面に崩れ落ちると同時に、彼の体から異様なエネルギーが解き放たれた。そのエネルギーは黒い霧となり、周囲の空間を揺るがした。
「これは…なんだ?」
コンタが驚きながら後退する。その霧の中から、新たな姿が現れた。目の前に立つのは、かつての伊吹丸に酷似した姿。しかし、その瞳には冷酷な光が宿り、異様な威圧感を放っていた。
マドレシスが息を呑んで呟いた。
「伊吹丸ではない。だが、同時に伊吹丸でもある。」
霧の中から現れた新たな敵は、かつての伊吹丸の力をさらに増幅し、暗黒の意志を持っていた。彼の異能「無」と「有」の力は完全に暴走し、全世界を脅かす存在となったのだ。
「俺が伊吹丸だ。だが、俺はお前たちの味方ではない。」
新たな伊吹丸は冷たく笑い、天を仰いだ。
「世界を征服し、俺自身が神となる。」
マドレシスとコンタは互いに視線を交わした。新たな敵は、仲間であった伊吹丸。その力は無限に等しく、倒すことは容易ではない。だが、彼を止めなければ世界は破滅する。
「伊吹丸…いや、新たな敵を倒すために我々がいる。」
マドレシスは決意を込めて声を上げ、コンタもまた新たな覚悟を決めた。
世界は再び戦いの渦に巻き込まれる。だが、今回の敵はかつての仲間であり、その力は神をも凌駕する。