大地を裂くほどの激闘が続く中、白川と神風は琥珀の猛攻に追い詰められていた。白川は何度も立ち上がり、反撃の糸口を見つけようとするが、琥珀の力は圧倒的だった。
「クソッ…こんなもんじゃないだろ、白川!立て!」神風が叫ぶ。
「俺がどうにかする…だが、この野郎…強すぎる!」白川は苦しそうに息を吐きながらも、決して諦める様子は見せない。しかし、その背後に立っていた神風は、白川に見えない形で一瞬の決断をしていた。
琥珀の次なる攻撃が白川を狙う。黒い呪力の波が迫りくる中、神風は白川を突き飛ばし、自らその攻撃を受け止めた。
「おい、何してんだ!?」白川が叫ぶが、神風は微笑みながら振り返る。
「白川、お前は生きてこの戦いを終わらせるんだよ。」
琥珀の呪力が神風の身体に直接襲いかかり、血が噴き出した。だが、神風は一歩も引かず、最後の力を振り絞って琥珀に向かって走り出す。
「俺が…最強だ…!」
神風は最後の呪力を込めて拳を放つ。その一撃は琥珀を捉え、一瞬の隙を作り出したが、その代償は大きかった。琥珀は負傷したものの、神風はそれ以上立ち上がることができなかった。
「なぜ…お前が俺を守るんだ…!」白川は震える声で叫ぶ。
「お前が弱いからだよ…」神風は息絶え絶えに答える。
白川が駆け寄ると、神風の顔にはまだ余裕の笑みが浮かんでいた。
「白川…俺たち、ずっと戦ってきたな…でも、最強は俺だからな…最後まで…」
神風は微笑みながら、ゆっくりと目を閉じた。
「神風…お前…」白川は拳を握りしめ、唇を噛みしめながらその場に膝をついた。
「フン…くだらん友情劇だな。最強だと?愚かな。」琥珀は軽蔑の笑みを浮かべながら、死んだ神風の身体を見下ろす。
だが、白川の目はもう何も言わなかった。彼の中で何かが静かに、しかし確実に変わり始めていた。