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俺はふと思い出した。
ここにいるのはこいつに連れてこられたから。
今なら鎖が外れている。逃げなければ、と。
俺は服を探す。クローゼットから服を出して着る。
『お兄さん?』
声をかけられてしまった。
『どこへ行くんだい?』
「え、いや、」
『何をそんなに焦ってるの?』
言葉が口から出てこない。
「は、はやく布団を洗ってくれないから俺が洗おうとしたんだ!ベランダに裸で出ると不審者だと思われるだろ!」
馬鹿なことを言う。
『わかったよ、お兄さん。今から洗うね』
優しい笑みを浮かべて布団を洗いに行った。
今のうちに。
玄関へ行き靴を履いてドアを開けて逃げた。
とりあえず遠くへ。追いつかれないようにはやく。
俺は何か懐かしいところに着いた。
「保育園だ…」
ここからなら帰れる。俺は走って逃げた。