家を出てしばらくしてついたのは今の自分とは色々正反対のところだった
そういえば今日はあの人たちもきてるんやっけ
グループラインを見たときの記憶を漁る
正直こんな自分が来ていい思いをするやつがいるとは思えない
ただ迷惑がられるだけなのではないかと常々思う
「シェアハウスか〜ええなぁ…」
隣でそんなことを零すこいつは自分に何をさせたいのかが全く見えない
普段から無口無表情を貫いているこいつにそんなこと期待しても仕方が無いのだがわざわざここじゃなくてもよかったやんか
そう思ったがそんなことを言えば抹消されることは目に見えていた
「合鍵合鍵…あった」
合鍵を手にとると器用に鍵を開ける
かちゃかちゃと音を立てて開いた鍵はいつもよりなんだか可怪しく見えた
「お邪魔しまーす」
こいつは一言そう言うと家に入っていった
そのあとを急いで追いかける
するとドアからひょこっと誰かがでてきた
「おー来た来た!!」
いつも通りのクソデカボイスで出迎えられる
「うっす」
「こんちわ」
と挨拶を交わす
「え、お前らほんまに2人で来たんかいな!!ありがとぉなぁ」
『ほんまに2人で』ってこいつなんか裏で働いてたな
わざわざここまで自分を連れ出すのからおかしいとは思っとったけど
共犯者も共犯者でやばいし
「あーお前1回上行って顔出しといで」
「え、めんどくさ…」
「いってこいって!皆待ってるんやから!!」
「ッツ…」
背中を思いっきり叩かれた
ピリピリと電流みたいなものが走る背中をさすりながら階段を上った