私は、この世界に転生をした。その世界での暮らしにもだいぶ慣れてきたころ……ある事がきっかけで、私は前世の記憶を取り戻した。そして今――「ねえ、お兄ちゃん。これって本当にゲームなんだよね?」 「…ああ、そうだ」 私の目の前に広がるのは、一面真っ黒の世界だ。それはまさに『無』だった。しかし同時に、私はそこに無数の光の粒を見たような気がした。まるで星々の海のように煌めくそれらを眺めているだけで、なんだかとても懐かしい気持ちになっていくのだ。それが何であるかなんて分からないけれど、きっと遠い昔どこかで見たモノであることは確かだと思う。でも……今はそんな事どうでもいいか。だってこれはゲームなのだから。それに私は知っている。この光の正体が何なのかを。なぜなら私はこの世界を何度もプレイしているからだ。私がいるこの場所もまた数あるステージの一つに過ぎないのだから。私はその証拠とばかりに両手を空へ上げた。すると、私の体はたちまち白い光を発した。それはまるで、宇宙から地上を見下ろす星のようであった。もちろん本物の地球もこんな風に見えていたに違いない。私はそんなことを考えながらゆっくりと目を閉じて意識を集中させた。すると―― (…?)頭の中に何かの映像が流れ込んできた。私はその映像を見て驚愕するとともに、一瞬意識が遠のいてしまった。(…え……?)次の瞬間、私は自分がどこにいるか分からないほど真っ暗闇の中にいた。さらに驚いたことに、どうやら自分の体すらも見ることができないらしい。それどころか周りの景色すら見えない。なのに、頭の中だけは妙にはっきりとしていた。一体どうなっているんだ。
突然、私の意識は急に遠くなったかと思うと、今度は別のシーンへと切り替わった。今度の舞台はどこかの部屋のようだ。部屋にいるのは白衣を着た数人の女性たち。彼女たちは何かを話しているようだが全く聞こえない。どうやらノイズがかかっているようだ。すると、一人の女性が私の方を見ながらこう言った。「……また新しい検体が来たわね」そう言って女性は部屋を後にした。それを皮切りに部屋にいた女性全員が部屋を出ていく。一人残された私はポツンと取り残されていた。「…」私はその場に立ち尽くし続けていた。
「…ん……」ふとそんな声が聞こえてきたのは、それからどれぐらい経ってのことだったのだろうか。いや、もしかしたら数秒しか経っていなかったのかもしれない。しかし私にとっては途方もないほど長い時間に感じたが、ようやく誰かが近づいてきた気配がして顔を上げた瞬間、そこにいたのは私の見知った人物だった。(…え…?)その人物は私の姿を捉えるや否やすぐさま駆け寄ってきて
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