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アメリカにいるジェシーから電話がかかってきて、北斗はいつものように取る。
どうせ、お土産は何がいいかとか聞いてくるんだろうなと思っていた。
「はい」
「北斗、今いい?」
「ああ…厨房だけど休憩中だから大丈夫。どうした?」
「ちょっと聞いて、あの、落ち着いて聞いてほしいんだけど」
いつにない早口に困惑する。
「え、待て、とりあえずお前が落ち着け」
「いや落ち着いてらんないよ!」
ジェシーの焦ったような声に、もしかするとあっちで何かあったのかと思う。
ひょっとして、大我の身に何か――。
「どうした? 何かあった?」
ジェシーは一つ大きく深呼吸をして、言った。
「大我って、もしかしたら俺の異父兄弟かもしれない」
少しフリーズした後、まさか、と笑う。
「そんな偶然ある? ってことは俺らのいとこだよ。そんなことあるかな」
「違うんだよ。きっとそうなんだよ」
どっちだよ、と突っ込んでから、「とりあえず最初から詳しく説明して? ってか兄ちゃんは?」
「今仕事だから、電話に出なかった」
もう一回呼吸を整えて、口を開く。
「昨日、俺のパパの家に3人で行ってさ、そのときに、大我って俺のお母さんに似てるってことをパパが言ったんだ。で、大我がちょっと気になってる感じで、また今日行きたいって言い出して。俺もまさかと思って、パパに前の旦那さんのことを聞いた。そしたら亡くなったときにもらった手紙が出てきて、そこに『京本』って書いてあったんだ」
北斗は息を呑んだ。
「どういうこと?」
「その手紙は、ママが亡くなったことを聞いて出してくれたらしい。で、『京本さん』にも知らせたって書いてた。だから、その京本さんって人がママの前の相手。でしかも、差出人は兄ちゃんたちのおばあちゃんなんだよ」
「はっ? えちょっと、その手紙見せてよ」
「メールで送る」
電話を切ると、すぐにジェシーから画像が送られてきた。真剣な顔でそれを読むと、ようやく事の重大さがわかった。
「…マジで」
ジェシーから伝えられたときは困惑したけど、文面を見ると整理されてきた。
そして樹と慎太郎が帰ってくると、経緯を詳しく話した。
「え、大我くんが…」
「俺らといとこ…?」
2人は同じ放心したような表情。
「断言はできない。でも、そう考えないと辻褄が合わない。京本ってそういる苗字じゃないし、差出人はおばあちゃんだから。それに、お父さんに妹がいたってのは聞いたことあるし」
じゃあ、と慎太郎が続ける。
「大我くんのお母さんはジェシーのママと一緒。そのママが俺らのお父さんの妹なのか。大我くんを生んでから離婚したあと、ジェシーを生んだ。でもそのあと事故で亡くなって、大我くんは身寄りがなくなった。で特徴的にも一人じゃ危ないから、施設に連れて行かれた。何年か後、誰かによってこっちに連れて来られた、ってことかな」
そうかもしれない、とうなずいた。
「でも…誰かな。大我くんを連れて来た人」
樹が言うが、さあ、と2人は首をひねる。
「きっとこれからわかってくよ。それに、大我くんが親戚だなんて嬉しいじゃないか」
そうだね、と笑う。
この家に来たのは運命的だったのかもしれない、と思った。
続く
Happy Birthday Hokuto!!!!!!
And Juri!!!!!!(遅ればせながら…)