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#地雷系
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第40話、読み終わりました。ミィがついにMelty Loveで働くことになって、ほっとしました。店長の厳しさとアイさんの優しさのバランスが絶妙で、オムライスとカシスジュースの描写からも店の空気が伝わってきて、思わずお腹が空きました(笑)。何より、優斗くんが「女友達」と素直に言えたのがすごく温かくて、ミィの心の支えになっただろうなと感じました。二人の関係性が少しずつ変わっていくのが楽しみです。
彼女はカウンターの内側から外側へと回り、私の頬を手で掴む。そしてグッと顔を近づけ、そのまま舐めるように私の顔を凝視する。
「まあ、面は悪くないな。先に言っておくが、うちの店では面が良い奴しか働かせないようにしている。この店はな、私がプロデュースをした地下アイドル達が、アイドル活動だけじゃ食っていけそうになかったから用意した店だ。ルッキズムだ何だと言ってくる野郎が時々現れるが、私のプロデュースしているアイドル達に負けない容姿じゃねえと本人が傷つくことになるだけだ。その点テメーは合格だ。」
彼女は私の頬を掴んだまま、アイさんの方を見る。
「こいつとどこで知り合った?」
「大久保公園です。」
「……立ちんぼか?」
「はい。私が買って、ホテルで交渉しました。」
今度は睨みつけるように私の方を見た。
「訳アリか?」
「……家出です……家には帰りたくないので……。」
家に帰りたくない理由……そして、母との関係を話した。すると私は店長に、カウンター席へと案内され、まだ何も記載されていない履歴書とペンを渡された。
「履歴書を書け。年齢は20歳な。学歴も20歳で整合性のとれる卒業年にしておけよ。あと、お前、今日からこのお店では”ミィ”だ。本当はアイドルグループへと入れたいところだが、親にバレると厄介だろう。だから、”アイ”と”マイ”と一緒に売り出す。何か困ったことがあればアイに聞け。」
そして彼女はアイさんの肩を叩いてカウンターの奥へと入って行った。私がアイさんを見ると、アイさんはニコニコとした表情でこちらを見返す。
「合格よ。たぶんこの後、研修の予定とシフトを聞かれるからいつから働きたいかを考えながら履歴書を書いちゃいましょう。あと、もし泊まるところが無ければ今日から私の家に来ない?」
「え……でも……迷惑じゃ……。」
「何を言っているの? 迷惑じゃないわ。それに、私だって無償で泊めてあげるつもりは無いんだから。毎日、私と一緒にお風呂に入ることと、私の抱き枕になることが条件。どうかしら?」
気が緩むと涙が流れそうになる。私はアイさんの手を取って何度も頷いた。
◆◆◆◆
アイさんと履歴書を書いていると、カウンターの奥から店長が現れ、オムライスと飲み物を私の前に置く。彼女の作ったオムライスは、チキンライスの上に楕円形のオムレツが乗っており、ナイフを入れると山の上を滑るかのように半熟の卵がスライドして、チキンライスを覆った。そして、店長はケチャップでデフォルメされたツインテールの女の子の顔を描く。
「うちは女の子の可愛さと料理で売っている。料理専門のキャストもいるが、客からお前に作ってほしいと言われたときに、この程度の料理を作れないと困る。だから、これからみっちり教えてやる。とりあえず、手を止めて食ってみろ。」
私は言われた通り一口食べてみる。トロトロの半熟卵とケチャップの味が染みたチキンライスが絶妙にマッチして頬が蕩けそうな程美味い。思わず顔中の筋肉が緩んでしまう。
「凄く美味しい。」
店長は口元だけを緩ませながら飲み物の入ったグラスを押し出す。グラスの中には赤とオレンジのマーブル模様の液体が入っていた。
「これも飲んでみろ。」
一口飲む。オレンジジュースのような風味があるが、オレンジジュースよりも甘酸っぱい……ぶどうジュースとオレンジジュースを混ぜたミックスジュースのような味がする。
「美味しいです。」
店長は相変わらず鋭い目つきで口元だけ笑う。
「口に合って良かった。これは、お前がキャスドリ……お客さんから奢られたときに飲む飲み物だ。作り方は簡単――グラスに氷を入れて、オレンジジュースと棚の一番右にあるこの瓶の中身を混ぜろ。」
店長は棚から洋酒を取って私に見せる。瓶の形は独特的で、注ぎ口は細いのだが下の部分が丸く膨らんでいる。そして瓶の底は安定させるためなのか、平らに広がっていた。中には濃い紫色の液体が入っている。
「これは本来、カシスリキュールが入っている瓶なのだが、棚の一番右のものだけカシスジュースにしてある。本来は酔いが回ってきたキャストがごまかすためのものだが、お前は未成年だから必ずこれを飲め。オレンジジュース4に対し、カシスジュース1の割合で混ぜろ。客がカシオレ頼んだ時に間違えて出すんじゃねーぞ。あと、客がショットを頼んできたときは……腹をくくれ。透明の酒は基本的に度数が高い。そのため水に変えた場合、香りでバレるからな。他の酒の作り方は、これからアイに教えてもらえ。」
そう言って店長は再びカウンターの奥へと戻って行った。こうして私は地雷系・量産系メイドカフェMelty Loveで働くこととなったのだ。
◆◆◆◆
<夏目 優斗 Side>
「分かったでしょ……。私は色々な人に迷惑をかけているの。売春をした時点で、私は誰かに寄生しないと生きていけない人間になってしまったのよ。でも、そんなことは許されない……。だから私は……。」
俺はミィの言葉にかぶせるように静かに話す。
「酔ったミィちゃんを介抱した時は、正直、面倒な女だと思った。それに、俺の免許証を写メで撮って、俺の家に押し掛けてきたときはヤバい女だと思った。でも今は……普通に女友達って感じに思っているよ。友達が、友達を頼るのは普通のことだろ。俺だって、博巳の事を呼び出して小説の案を聞いてもらったりするし、博巳だってコスイベ前は俺にコスプレの出来栄えを見せに来る。それに……その……恥ずかしいし……アレなんだけど……。」
俺はミィの腕を掴み、もう片方の手の親指で涙を拭った。
「まあ……ミィちゃんと一緒にいて……そこそこ楽しかったから……な……。」