テラーノベル
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ミィは一瞬キョトンとした顔を浮かべると、顔を真っ赤にして腕を組みそっぽを向く。
「と……当然じゃない! 私のことを追い出そうとした時に私、『私が一緒にいた方が絶対に楽しい』って言ったけど、その通りだったでしょ!」
「まあ、一人なら味わえない経験をさせてもらったよ。」
ミィの頭に手を置いてくしゃくしゃと撫でると、ミィは不機嫌そうな表情を浮かべながら目だけこちらに向けた。
「これからも時々なら、一人ではできない経験をさせてもらえると助かる。それに、ラブコメをさせてくれるって約束だっただろ。」
ミィは耳まで真っ赤にしながら俺の手を払って部屋を出て行った。その時に、ぽつりと――ギリギリ聞こえるくらいの声で囁いた。
「……考えとく。」
◆◆◆◆
<ミィ side>
最悪! 最悪! 最悪! 最悪! 最悪! 本当に最悪! 私は私自身の意志の弱さにイライラする!
ユウト君に「もう、私は一人で大丈夫だから。」って言おうと思ったのに……。
「普通のお客様とコンカフェ嬢の関係でいよう。もう迷惑はかけないから。」って言おうと思ったのに……。
ユウト君の部屋に入り、彼の顔を見たら心の中から何かがあふれ、思わず心情を吐露してしまった!
ホテルで私を介抱してくれたとき、ユウト君の言った「最後まで面倒をみてやる!」なんて言葉、本当に信じていたわけじゃない。私だって「酒が抜けるまで介抱してやる。」くらいの意味だって分かっていた。
私のことをホテルに連れ込んだのに、エッチなことを一切しないどころか、無償で介抱してくるなんて初めてだった。
ユウト君の家に押し掛けた時は、アイさんに彼氏ができたので私が家を出た矢先だった。ホテルでの一件があったから、ユウト君がいつまで手を出さずにいられるか、からかうくらいのつもりだった。
自分の部屋に戻って、ユウト君がクリスマスプレゼントとしてくれた大きな猫のぬいぐるみを取り出す。吉祥寺で一緒にデートをした時に眺めていたクレーンゲームの景品だ。本当は欲しかったのだが、私の腕では取れないと諦めたものだ……。
ユウト君は、私が諦めたものをいつも私に与えてくれる……。大きな猫のぬいぐるみ……。私の居場所……。そして、男性のことを少しだけ信頼する気持ち……。
猫のぬいぐるみを抱きしめていると、ぬいぐるみの手から何かが落ちた。拾い上げてみると……クリスマスカード? 中身を開けるとカードには、下記の文章が手書きされていた。
袋の奥にハンドクリームを入れておいたので使え。肌荒れに気を付けろ。
大きな紙袋の底を見ると、ハンドクリームが入れられていた。これ、私が普段使っているハンドクリームと同じメーカー……しかも、有名なデパコス(※)のものだ。
(※)デパートコスメの略:デパートのコスメ売場で売られている、比較的高価なコスメを指す
私は普段、料理の後や風呂上りにハンドクリームを塗る。普段から料理をするため、水に触れた時に手が荒れていると痛いのだ。それに、ガサガサの手でお客様にグラスをお渡しするわけにはいかない。普段使いだし、最低限の機能があれば良いのでプチプラの物を使用していたのだが……。
ユウト君……普段から私の事をしっかりと見ていたんだ……。
あれ……何だか胸がドキドキとして……ヤバい……。何でユウト君に……? 私からユウト君のことをからかったり……ユウト君の方から私の事をからかってきたり……そんな、軽い感じで遊べる友達なのに……。
そういえばクリスマスイブの日に、ユウト君がアイさんの事を押し倒して、「『アイさんが好きです。』って胸を張って言えるくらい、アイさんの事を知ろうと思います……。」ってアイさんに言っていた。その後ユウト君は「アイさんとは”まだ”何にもない。」って言っていたけれど、どういうこと? ひーくんに「アイさんとユウト君は何も無いと思う」ってフォローされたけれど、なんだかモヤモヤとする。
というか、私みたいな美少女と半同棲みたいな生活をしているのに、一回も私の事を襲ってこないし、愛の言葉一つかけてこないってどういうこと? 性欲枯れてるの? 何だかだんだん腹が立ってきた……。
それに、私が自分の過去をユウト君に打ち明けたのに、ユウト君は平気な顔をして「友達が、友達を頼るのは普通の事だろ。」って……普通、パパ活をしていたって打ち明けたら引くでしょ。いや……実はユウト君、平気な顔をしているふりをしていただけで、内心引いていたらどうしよう……。ヤバい、やっぱり隠しておくべきだったかな……。なんだか無性に悲しくなる……。でも、私と一緒にいて楽しかったとも言ってくれたし……。
というか、何で私がユウト君の事を考えてドキドキしたり、腹が立ったり、悲しんだりしなくちゃいけないのよ。
「もしかして……私……ユウトのことが……。」
思わずつぶやいた自分の言葉に恥ずかしくなる……。今、私、どんな顔をしているんだろう……。ユウトからもらった、大きな猫のぬいぐるみを潰れるくらいギューッと抱きしめて顔をうずめる。ほんのりと、ユウトの家の香りを感じる……。
#地雷系
金欠チャン
690
ゆずき
398
モノクロナツキ
1,508
この部屋には鍵がかかっており、外から誰も入る事ができない。でも……でももし、今の私の顔を誰かに見られたら、たぶん死ねる……。それくらい恥ずかしい顔をしている気がする……。
ユウトのバカ……。心の中でそう呟きながら、狭いリクライニングシートを倒し、ぬいぐるみを抱きしめながら眠りについた。
コメント
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みぅです🤍🥀 第41話、読み終わりました…! ミィの心の声がすごくリアルで、ユウトくんへの気持ちが徐々に変わっていく過程にドキドキしました。 「考えとく」も、耳元で言われたら確かに心臓止まるやつ…! ハンドクリームの話とか、ユウトくんのさりげない優しさが刺さる描写で、思わずにやけちゃいました。 でも最後の「ユウトのバカ」で終わるのがミィらしくて、すごく好きです。続き、気になります…!