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瓦礫が舞い、アスファルトはひび割れている。
爆発音。
エフェクトの閃光が街を裂く。
ブレイブ(飛彩)は連続斬撃で敵を押し返す。
だが、数が異常だ。
右から高速突進。
即座に防御。
火花が散る。
背後に気配。
振り向きざまに一閃。
だが――
上空。
大型バグスターが浮上する。
「上か……!」
エネルギーが収束する。
紫色の光が渦を巻く。
ブレイブが跳躍。
空中で斬り込む。
しかし別個体の砲撃が横から直撃。
爆煙。
ブレイブが地面に叩きつけられる。
転がる。
すぐに立ち上がる。
だがスーツに亀裂。
警告音。
「チッ……!」
再び構える。
だが敵は距離を取る。
大型個体が両腕を広げる。
周囲の個体が同調。
エネルギーが一点に集まる。
街の空気が震える。
飛彩が理解する。
「まずい……」
退路を確認。
背後は瓦礫。
仲間も別方向で拘束されている。
孤立。
変身限界警告。
スーツが明滅する。
「まだだ……!」
踏み込もうとした瞬間――
足元が爆ぜる。
衝撃。
膝をつく。
変身が揺らぐ。
光が弾ける。
ブレイブの装甲が砕ける。
――変身解除。
飛彩の体が露出する。
息が荒い。
立ち上がろうとする。
だが、膝が震える。
大型バグスターが照準を固定。
巨大なエネルギー砲が完成する。
空気が焦げる匂い。
収束。
このままでは直撃する。
避けられない。
飛彩は歯を食いしばる。
――永夢視点
飛彩さんがやられる。
だめだ。
あの人は、絶対に倒れちゃいけない。
あの人は誰よりも命を救う人だ。
守らなきゃ。
理屈じゃない。
損得でもない。
怖さも、計算も、消えている。
あるのは一つだけ。
飛彩さんを、守る。
走る。
距離が縮まる。
砲撃が光を放つ。
間に合え。
間に合え。
背中で受ける。
衝撃。
スーツの光が弾ける
――変身解除。
永夢の身体が露になる。
「…か、っ……」
肺の空気が全部抜ける。
焼ける痛み。
それでも倒れてはいけない。
飛彩さんが無事か、確認しないと。
ゆっくり振り向く。
視界が揺れる。
でも、そこにいる。
小さく、息を吐く。
「……は…」
息が漏れる
吸えない、息が足りない
「……よ、…かっ……」
言いきれない。
声は、もうかすれている。
喉も焼けるように痛い。
足の感覚が、ゆっくりと消えていく。
地面を踏んでいるはずなのに、どこか遠い。
飛彩さんの顔が、目の前にある。
怒っている。
でも、その奥に焦りが見える気がした。
そう思った瞬間。
膝が崩れる。
力が抜ける。
身体が前に傾く。
――支えられる感触。
温かい腕。
「研修医!!」
叫び声が近い。
胸の奥が焼けるように痛む。
息を吸おうとするたび、鋭い痛みが走る。
さっき、庇った衝撃。
肺が押し潰されたみたいに、呼吸が浅い。
「……っ、は……」
空気が入らない。
視界が揺れる。
揺さぶられる感触。
「しっかりしろ!」
応えたい。
でも声にならない。
喉が鳴る。
「……は、っ……」
浅い呼吸。
うまく吐けない。
胸元を掴む指が震える。
音が、水の底みたいに歪む。
輪郭が滲む。
視界が揺れる。
――飛彩視点
「研修医!!」
崩れ落ちる身体を咄嗟に抱き止める。
だが体重が完全に預けられる。
「……っ、……は……」
呼吸が浅い。速い。
胸がほとんど動かない。
「しっかりしろ!!」
「……は、っ……」
腕を回し、慎重に地面へ下ろしていく。
「寝かせるぞ」
背がゆっくりアスファルトに触れる。
その瞬間――
「……っぁ……!」
胸に走る痛み。
胸郭の動きが不自然。
――肺損傷の可能性。
指先に触れる脈。
速い。弱い。
出血の有無を確認する。
「……ぁ、っ……!」
腹部を押さえると、顔が歪む。
「そこか……」
外傷だけじゃない。
内出血の疑い。
圧迫を続ける。
「……っ、は……」
だが、そのたびに永夢が小さく息を詰める。
「我慢しろ……!」
意識レベルが落ちていく。
瞳の焦点が合わない。
「永夢!」
反応が鈍い。
救急要請。
「救急だ。20代男性。胸部外傷。肺損傷疑い、内出血の可能性。呼吸浅速、意識低下。最優先で搬送を」
通話を切る。
永夢の呼吸が、不規則に震える。
「永夢、目を開けろ」
「……っ……は……」
浅い。
吸えていない。
「……くそっ」
救急要請。
脈はある。呼吸も、まだ。
だが弱い。
サイレンが近づく。
到着。
救急隊が駆け寄る。
「状況は!」
「爆発外傷。肺損傷疑い。腹部圧痛あり。血圧低下傾向。酸素投与を」
一瞬、救急隊員が目を見開く。
「医師ですか?」
「鏡飛彩だ」
迷いのない声。
酸素マスクが装着される。
担架へ移す瞬間――
「ぁ……っ……」
喉の奥で、声にならない苦鳴。
胸がひくりと震える。
「動くな」
飛彩は頭部と頸椎を固定したまま支える。
ストレッチャーが救急車へ滑り込む。
「搬送先は?」
「聖都大学附属病院だ。俺が同乗する」
ドアが閉まる。
――サイレン。
車内は赤い光と振動に包まれる。