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「おはよ」
ガチャ、と部屋を開ける音、 いい匂いとともに目が覚めた。ベーコンと卵の焼ける匂い。あとは…
「ごめん、勝手に食パン焼いたけど食べる?」
香ばしいパンの匂いが鼻をくすぐる。すると、
ぐぅ~…
とお腹の音が鳴った。
「うわ…恥ずかしい… 」
「お腹すいたでしょ、もう11:00だよ」
「え!?もう!?」
「朝ご飯と言うには遅いけどね」
俺はベッドから降りて、ダイニングに向かった。テーブルにはちゃんとした朝ご飯が作られていた。人に作ってもらう朝ご飯なんて久しぶりだった。
「簡単なものしか作れなかったけど」
「いいよいいよ!美味しそう!」
キラキラと目を輝かせる俺を見て、キヨくんはクスクス笑っている。何がそんなにおかしいのかと言いたかったけれど、それよりも目の前の料理の香りが俺を誘う。
キヨくんと向い合せに座った俺は、早速作ってもらった料理に手を付ける。
「レトさんはさ、休日はずっと家にいるの?」
「んー、まぁほとんどね」
「今日俺と出かけねぇ?」
外を見るとすごく天気がいい。この前までの梅雨が嘘のように晴天だった。確かに、こんな天気がいい日に家にいるのなんてもったいないな。相変わらず気温は高そうだけど。
「いいよ、どこ行く?」
「俺調べてたんだけど、七夕イベントやってるみたいでさ 」
「どこで?」
スマホの画面を見せてくれる。電車での距離らしいが、夕方から神社でやるようなイベントのようだ。屋台もそれなりに出て、かなり盛り上がりそうな感じだ。
「ほらここ。天気もいいし、夕方からどうかなって」
「俺こういうの行ったことないから行ってみたい!」
「そっか」
嬉しい。シンプルにそう思った。友達と出かけることもあまりしてこなかった俺にとって、夏祭りなんて夢のまた夢だなって思っていたけれど、こうやって誘ってくれる人が近くにいてくれて…
「ありがと、キヨくん」
「ん?」
「こういうの、新鮮で嬉しい」
俺が笑った顔を見て、キヨくんも釣られて笑った。休みの日に出かける予定が入るなんて、今までの俺だったら考えられなかったな。
To Be Continued…