テラーノベル
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当然のようにそう言う敦に、申し訳なさが募る。
「えっ、いいよ…ぼ、ぼくのせいで寝不足なって欲しくない、し…だ、だったら起こすなって話かもしれないけど……っ」
明日も仕事があるのに、僕のせいで睡眠時間を削らせてしまっている。
最後の方にはボソボソ声になってしまって、罪悪感から俯いてしまった。
そのとき
「ひろ、顔上げて?」
しゅんの真剣な声に釣られて顔を上げた。
それと同時に
「ん…っ!」
視界いっぱいに敦の顔が広がって、唇に熱い感触が伝わった。
驚きで目を見開く暇もないほど、息ごと奪うような甘いキスだ。
僕の不安も、罪悪感も、すべてを押し流してしまうような、深くて優しいキス。
「ん…っ、ふぅ、ん……っ」
ほんの少しだけ長く重ねられた唇が離れる刹那、彼は小さく笑った。
愛おしげに僕の頬を親指で撫でる。
「俺はそんなこと思わないよ。言ったでしょ?ひろが一人で苦しんでる方が嫌だって」
「…ぅ、うん……っ」
しゅんの確かな体温を感じていると、不思議と身体の芯からの震えが完全に収まっていった。
彼の言葉には、僕のネガティブな思考をすべて吹き飛ばすだけの力がある。
「大丈夫。俺なら平気だし、怖くなったらいつでも頼って」
こんな夜中に泣きながら起こしているのに、文句のひとつも言わないで
それどころかこんなにも優しい言葉をかけてくれるのが嬉しくて
僕は掠れた声で〝ありがとう〟と呟いた。
そうして僕は敦と一緒に再びベッドに横になると、彼の胸にしっかりと顔を埋めて
今度こそゆっくりと瞼を閉じた。
◆◇◆◇
翌朝
「ん……」
目が覚めると、カーテンの隙間から眩しい光が差し込んでいた。
窓の外からは小鳥の囀りがチュンチュンと聞こえてくる。
昨晩のあの息苦しい出来事が嘘のように、穏やかで静かな朝だった。
心の中にかかっていた霧がすっきりと晴れ渡り
昨日の夢が何だったのか思い出せないくらいの晴れやかな気持ちだ。
敦の腕の中にいるという事実が、僕を無敵にしてくれている。
すると
「あれ…ひろ、起きたの?早いね」
隣で眠っていたしゅんも、気配を察したのか目を覚ましたようだった。
「んん…おはよ」
「おはよ。あれからちゃんと眠れた?」
開口一番に僕の心配をしてくれる。
「うん…しゅんのおかげで」
お互いに顔を見合って、フッと微笑みあった。
あの後は怖い夢を見るどころか、本当に嘘みたいによく眠れた。
目覚めがこんなに軽いのは久しぶりだった。
「よし。それじゃあ朝ごはんにしよっか」
敦はすぐにベッドから降りて、エプロンを求めてキッチンへ向かう。
僕はシーツに残った布団の匂いを名残惜しみつつも、ゆっくりと立ち上がり、その後に続く。
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@ きみ以外なんて選ばないよ
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