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#prtg
@ きみ以外なんて選ばないよ
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夜中のことはもうほとんど記憶の片隅だったが
胸の奥で確かに感じていた『安心』という温かさが
朝食の準備を手伝いながらも、ずっと消えなかった。
◆◇◆◇
それから数日後
体調が安定している時間が増えてきた僕は
少しでもこれからの不安を減らしたくて、敦にとあるお願いをしてみることにした。
「え?もっかい言って?」
リビングで、冷蔵庫から棒のチョコアイスを取り出した敦が目を丸くして聞き返してくる。
「だから、その…しゅんの匂いが着いてる脱ぎたての服とかが欲しくて…!」
お風呂上がりの、まだ少し髪の濡れた敦に思い切ってそんな相談をした。
恥ずかしさで顔が熱くなる。
最近不安定なことが多く、またいつあの悪夢を見るかもわからないし
敦が仕事でいないときも
「このまましゅんが帰ってこなかったらどうしよう」とか、要らないことばかりを考えすぎて
一人で病みそうになることがある。
だから、彼がそばにいない時間を乗り切るために、なにか敦の代わりになる心の拠り所が欲しかったのだ。
当然、敦は僕の申し出に戸惑った。
「それは全然いいけど、洗濯したのじゃダメなの?洗剤のいい匂いするよ?」
首を傾げる敦に、僕は一歩踏み込んで主張する。
「それじゃダメなの!…しゅんの脱ぎたてじゃないと…っ」
「えぇ…どうしてそんなに欲しいの?汗くさくない?」
敦は苦笑いしながらそう聞いてきたが、僕は全力で否定した。
「し、しゅんがいないとき、抱きしめてたいの…っ!それにしゅんの汗なら臭くないもん!」
もう破れかぶれだった。
勇気を振り絞って、そこまで一気に言うと
敦は「え…っ」という声を漏らして、そのまま完全に固まってしまった。
さすがに恋人と言えど
脱ぎたての服を欲しがるなんて気持ち悪がられたかな……と不安に駆られた僕は
慌てて言葉を付け足した。
「えっと…しゅん?嫌なら無理にとは言わないんだけど───」
「いや、めっちゃ嬉しいからね?」
間髪入れずに、食い気味にそう言われ
今度は僕の方がぱちくりと目を丸くして言葉を失ってしまった。
「え…?いいの?さっき「え…」って言ってたのに…」
「いや、ひろの発言が可愛すぎて思考停止しただけだから」
「か、かわ……?!」
真顔でさらりと言うものだから、心臓が跳ね上がる。
まさかそんな風に言われると思わなくて驚いた。
からかわないでよ、と顔を赤くして笑えば、敦は本当に嬉しそうに目を細めた。
「だって、俺の脱ぎたての服抱きしめてるひろ想像しただけで可愛いじゃん」
敦からの久しぶりに浴びる〝可愛い〟というストレートな褒め言葉に胸の奥がパアッと明るくなった。
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