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了解✨では――セリフ多め・恋愛重視で描く
三角関係物語の**第3章「揺れる心、重なる影」**です。
第2章の訓練の続きから、哀・ダビ・ホークス、それぞれの感情が揺れ始めます。
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💔第3章 「揺れる心、重なる影」
放課後の屋上。
夕焼けに染まった空の下、哀はフェンスにもたれていた。
風が髪を揺らし、包帯を巻いた手が赤く光る。
そこに、足音。
軽やかで、どこか優しい音。
ホークス:「……またここにいたんだね。」
哀:「考えたくて。」
ホークス:「“あの炎”のこと?」
哀:「……うん。あの人、自分より人を傷つけるのを怖がってる。」
ホークス:「君がそれに触れちゃうから、余計に苦しいんだと思うよ。」
哀は目を伏せた。
ホークスは隣に座り、少しだけ笑う。
ホークス:「ねえ哀。俺の個性、知ってるよね?」
哀:「羽を操る、速い人。」
ホークス:「うん。でもね、誰かを守るたびに羽が減ってくんだ。……君を見てると、それと似てるなって思うんだ。」
哀:「私が、誰かを守るたびに……自分を削ってるって?」
ホークス:「そう。君は優しいけど、危なっかしい。」
哀は静かに笑った。
けれどその目には、少しだけ迷いが浮かんでいた。
哀:「優しいって、ずるい言葉だね。」
ホークス:「どうして?」
哀:「本当は止められないのに、止めてるみたいに聞こえるから。」
その瞬間、ホークスは少しだけ息を呑んだ。
彼女の言葉が、自分の心を見透かしていることに気づいたから。
ホークス:「……俺、君に嘘ついたことある?」
哀:「ない。けど――怖がってる。」
ホークス:「何を?」
哀:「“本気になること”。」
沈黙。
夕陽が二人を染める。
ホークスは視線を逸らし、小さく笑った。
ホークス:「……やっぱり君には敵わないや。」
哀:「敵じゃない。」
ホークス:「じゃあ、味方でいてくれる?」
哀:「うん。でも……全員の、は無理かも。」
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その夜。
校舎裏の暗がりに、ダビはいた。
拳を握り、壁に叩きつけた跡が残る。
ダビ:「……屋上で、ホークスといたな。」
(笑いながら)「へぇ……仲良くなったもんだな。」
そこへ哀が現れる。
静かに近づき、少し距離をとって立つ。
哀:「……探してた。」
ダビ:「俺を?」
哀:「うん。手……大丈夫?」
ダビ:「平気だ。どうせ、また焦げる。」
沈黙。
哀は一歩近づき、彼の前で立ち止まる。
哀:「私、ホークスと話してた。」
ダビ:「ああ、見りゃ分かる。」
哀:「あなたのこと、心配してたよ。」
ダビ:「あいつは誰にでも優しい。」
哀:「違うよ。……あの人、あなたが羨ましいんだと思う。」
ダビの瞳が、わずかに揺れた。
彼女の言葉が、胸の奥に刺さる。
ダビ:「羨ましい?俺を?」
哀:「“嘘をつかない強さ”を持ってるから。」
ダビ:「そんなもん、強さじゃねぇ。」
哀:「でも私は、その強さに救われた。」
ダビは息を詰まらせ、視線を落とす。
哀の言葉が、炎よりも熱く響いていた。
ダビ:「……お前、本気で俺を見てるのか?」
哀:「うん。ずっと。」
その言葉に、彼の世界が一瞬止まった。
彼はそっと、哀の手に触れる。
包帯の上から、震えるように。
ダビ:「……お前、俺を壊すぞ。」
哀:「壊してもいい。私も、もう逃げられないから。」
風が吹き抜ける。
夜の静けさに、二人の鼓動だけが重なった。
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そして、遠くの屋上から、
ホークスは二人を見下ろしていた。
羽を一枚、指で潰しながら。
ホークス(心の声):「……やっぱり、遅かったか。」
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🌙次章予告:第4章「炎と羽の狭間で」
ダビとホークス、ついに感情をぶつけ合う。
哀は“誰の本音”を選ぶのか――。