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第4章 「炎と羽の狭間で」
夜の雄英訓練場。
風が冷たく、空気が張りつめていた。
そこに立つ二人――ダビとホークス。
互いに無言のまま、目だけで火花を散らしていた。
ホークス:「……また夜に呼び出しか。燃える男は違うね。」
ダビ:「笑ってんじゃねぇ。話があんだろ?」
ホークス:「あぁ。……哀のことだ。」
その名が出た瞬間、ダビの表情がわずかに歪む。
ダビ:「あいつに近づくな。」
ホークス:「それを決めるのは、彼女自身だろ。」
ダビ:「……お前みてぇなやつが、哀をわかるわけねぇ。」
ホークス:「わかるさ。彼女の“痛み”を見たんだ。君が見て見ぬふりしてるものを。」
炎が一瞬、彼の足元に走った。
赤く、熱く、怒りそのもののように。
ダビ:「……挑発してぇのか?」
ホークス:「違う。けど、君の“独占”は愛じゃない。」
ダビ:「ハッ、綺麗ごと言ってんじゃねぇよ。お前だって、哀を欲しがってんだろ?」
ホークス:「……認めるよ。でも、俺は彼女を“縛りたくない”。」
沈黙。
炎の音だけが響く。
ホークスの背に羽が広がり、ダビの炎が夜を照らす。
ダビ:「だったら……どっちが本気か、見せてやる。」
ホークス:「……上等だ。」
炎と羽がぶつかる。
熱風が訓練場を駆け抜け、光が爆ぜた。
空に赤と白が交差し、二人の感情がぶつかり合う。
⸻
その瞬間、哀が駆け込んできた。
包帯の手をかざし、叫ぶ。
哀:「やめて!!!」
炎が一瞬で止む。
二人の動きが凍りついた。
彼女の体から淡い光がこぼれ、空気が静まる。
哀:「どうして、そんな顔するの……!」
ダビ:「離れてろ、哀。」
哀:「離れたくない!」
哀の声が震えていた。
彼女の涙が、光に溶けて消える。
哀:「あなたたちが傷つくの、見たくない。どっちも大切なんだよ……!」
ホークス:「……哀。」
哀:「私のせいで戦うくらいなら、もう何も言わない……!」
ダビが手を伸ばしかけて、止める。
ホークスも羽を閉じた。
静かな夜の中で、誰も言葉を出せなかった。
ダビ(小声で):「……泣くなよ。」
哀:「じゃあ、燃やさないで。」
ダビ:「……努力する。」
ホークス:「その努力、俺も手伝うよ。」
哀が二人を見る。
炎の赤と羽の白が、彼女の涙に映り込んでいた。
⸻
夜が明けるころ、
三人の距離はほんの少しだけ近づいていた。
けれどその背後には、まだ消えない影がある。
⸻
🌅次章予告:第5章「嘘のない約束」
哀の個性“嘘発見”が暴く、
それぞれが抱く“隠された本音”。
三人の関係は、優しさの裏で壊れ始める――。