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カルテ室はここから真っ直ぐの丁字路の左端にある。他にここには薬品保管庫や検査室などが備えられている。


ぼくには少しだけ難しい漢字がわかるんだ。


看護婦さんは透明なガラスで密閉された場所でぼくのカルテを探してくれていた。


ふと気になって、小型のエレベーターの入り口を見ると、ゆっくりとした機械音を発して一階へと上昇していた。


ぼくは心臓がバクバクして必死に祈った。

味方の羽良野先生でありますように。


エレベーターは一階で止まり、また地下へ降りてきた。


耳をすますと、複数の声が聞こえてきた。


「ほれほれ、ほれほれほれ」

「ほれほれ、ほれほれ」


「あ! やばい!」


ぼくは悲鳴を上げて、看護婦さんのいるカルテ室まで走り出した。

埃だらけの通路をカルテ室まで、体を動かしたはずが、だんだんとぼくの体が動きにくくなっている。どうしてだろう?



「何? あの人たち? まるで……」


一枚のカルテを持ち。真っ白な顔になった看護婦さんは、小型のエレベーターの方へと、視線が吸い込ませている。


「逃げよう!」


ぼくは看護婦さんの手を掴むと、必死に体を動かし丁字路の。通路の奥へと走った。

硬質な声が走り出した。

大勢の大人の足音が追ってくる。


「あっちよ!」


体の動きが鈍くなりだしたぼくに、優しい看護婦さんは叫ぶとぼくの手を必死に引っ張て全速力で走り出した。


真っ暗な通路を突き進むと、薬品庫と検査資料室の間に、古い小型のエレベーターが挟まれていた。


「さあ、あれに早く乗って! お願……」


優しい看護婦さんと走りながら、ぼくは具合が悪くなって床に勢いよく吐いた。


透明な液体が床の上に広がる。


「だ……大丈……?」


優しい看護婦さんの声聞きながら、ぼくはエレベーター内になんとか足を踏み込んで、看護婦さんとエレベーターのボタンを押した。


「ほれほれ」


「ほれ、ほれほれほれ」


ここからだと、村の人たちは暗くて。

その姿は見えなかった。


その時、暗闇から何かが飛んできた。

優しい看護婦さんの腕に突き刺さると、それと同時にエレベーターの扉が閉まった。


「大丈夫?」


「大丈夫……よ?  上に行きましょう……」


狭いエレベーター内の照明は、点滅する赤いランプだけだった。看護婦さんのマスクは血塗れで、ぼくはギョッとした。


慌てて看護婦さんを床に座らせると、そのまま看護婦さんは動かなくなった。

白いスープと死者の街

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