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全国大会当日になり星蘭高校の卓球部員はとても緊張していた。あるひとりを除いては。全国大会優勝経験のあるまどかは周りへ気を配りながら会場へ入っていく。すると神童学園の団体戦メンバーから話しかけられた。

「私たちに勝ったんだから優勝くらいしなさいよ!」

そう言われ不敵に笑う

「わたくしを誰だと思っているの、美和」


今年から特別ルールで団体戦は勝ち抜き戦形式だ。神童学園や他の強豪校も居ないため星蘭高校はあっという間に優勝を決めた。最初にまどかがいるのだから当然であろう。

ここからは個人戦。東京都予選ベスト4までに入っている神童学園の選手たちも参加し始める。予選の時とは違い、各県優勝者達が沢山いる中全て勝ち抜かなければならない。しかしまどかはそれを嘲笑うかのように全てストレートで勝ち、準決勝まで駒を進めた。

同じく準決勝までストレートで駒を進めていた美和はまどかに言う。

「あと1個ずつ勝って決勝で勝負だからね?」

まどかは笑顔で頷いた。

試合も終盤になってまどかはあと1本決まれば決勝戦へ進出する。集中力を上げてラリーをしていると隣のコートからものすごい歓声が聞こえ、耳を傾ける。

「花梨先輩あと1セットー!」

歓声と共に美和は1セット落とした。まどかは唖然としラリーが止まる。

“カコンッ”

そう言ってピンポン玉はコロコロと床に転がった。まどかからすれば大したことの無い相手、そのはずなのに差がどんどん縮まっていく。とうとうデュースとなりまどかは考えが追いつかなくなる。

『わたくしはこんなに脆かったの…?』

相手がサーブをしようとした瞬間客席からの応援が耳に入る。2人揃って絶体絶命。そんな時だからだろうか。こんな所に五大家門の子息令嬢がそろったのは。

「まどかー!ボケっとしてんじゃねえ、美和も成瀬の名背負ってんだろうが、さっさと勝ちやがれ!」

大和が叫ぶとひと足先にテニス全国大会シングルス、ダブルス、団体優勝を決めたたつやも声を張る。

「伊集院の名を背負ったお姉様は最強だということを知っています。お姉様は今年も優勝すると信じてますっ」

そう言うと雲雀の手をぎゅっと握る。そして声を張るのが苦手な雲雀は拡声器をどこからか出して言う。

「まどかお姉様頑張って…。皇家でもライブ中継でお姉様を応援しています」

声を聞きまどかはグッと唇を噛み俯くとバタバタと走る音が聞こえたかと思えばバンッとドアが開いた。それと同時に声が聞こえる。

「まどかあぁぁ!勝ちなさい!花梨と美和の相手出来るあなたが勝たないでどうするの!勝った時リベンジの相手が待ち構えてない花梨と美和の気持ちはどうなるの?!まずはあなたが勝ちなさい!あなた昔言ったわよね。わたくしが怪我でテニスの試合を諦めた時あなたが唯一スポーツで勝ったことの無いわたくしを1番強いと証明するために二度と負けないと!伊集院家の名にかけて全戦全勝しなさい!」

そう叫んだのは西園寺瑠奈。全国大会のライブ中継を見て走って来たのだった。

五大家門が揃い、ざわざわしている会場を見てふっと笑い、まどかはスマッシュを決め相手を突き放していき、勝利を決める。

「わたくしは負けないわ、瑠奈お姉様」

そう呟くと美和と花梨のいる隣のコートへ歩いていき花梨の方を向く。

「花梨ちゃんごめん、私は美和と決勝戦を戦う約束をしてるから応援出来ない」

そして振り向いて美和に拳を向けると同時に叫ぶ。

「このわたくしが応援して差し上げるのですからさっさと花梨ちゃんに勝って私のところまで上がって来て!負けたら許さない、もう勝負受けてあげないんだからぁ!」

そして何事も無かったかのようにコートを後にして行った。

まどかの一言を受けてから美和の調子はどんどん上がって行き、あっという間に決勝戦進出を決めた。

「お望み通り私が決勝まで来たよ、まどか」

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