テラーノベル
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「んー…俺の見てないところでひろがもし怪我したら心配だしな…トロフィーとか重いものは、今度からは一緒にいるときにしてくれたら助かるかな」
「…っ」
どこまでも僕の安全を最優先にするその果てしない優しさに、胸の奥がぎゅっと痛くなる。
浜崎くんといるときは、ただ命令されて
言われるがままにロボットのように動いて
少しでも失敗すれば容赦のない罵声を浴びせられて殴られた。
自分の意思で動くことすら許されず、ただ怯えることしかできなかった。
なのに、敦は何年経っても変わらない。
敦はいつでも対等に、優しく接してくれて
僕がやらかしをしても怒らず、逆に僕の心と身体を心配してくれる。
どれだけ優しいんだろう…。
浜崎くんとの地獄のような過去と比べても、敦の存在はどこまでも光に満ちている。
そう思うと、堪えていた涙が堰を切ったように溢れて止まなくなった。
ポロポロと床に涙が落ちていく。
「…っ、ぜったい、怒られると思ったのに……優しすぎ、るよ…」
「も~~…泣かないの。もしかして、俺に怒られるの覚悟して、こんな犬みたいに健気に正座して待ってたの?」
敦は可笑しそうに、でもたまらなく愛おしそうに眉を下げた。
「う、うん…だから、たまには僕に我慢しないで怒って……?泣いたり、怯えたりもしないから、ちゃんと…叱ってほしいの…」
自分だけが守られて、彼に損をさせているような気がして、そう懇願してしまった。
「んも~~……何言ってんの、大丈夫だよ。怒らないから。ほら、立とう?」
敦は手に持っていたケーキ箱をそっと棚に置くと、靴を脱いで上がってきて
僕の両手を優しく引いて、ゆっくりと立ち上がらせてくれた。
そして、そのまま僕の身体を引き寄せ、大きな胸の中に抱き寄せた。
すっぽりと彼の温もりに包まれる。
だけど、まだ内面の緊張が完全に抜けてないのか、僕の身体がわずかに強張るのを感じた。
身構えてしまう悲しい習性。
それを察してか、敦は僕を安心させるように
大きな手で背中をゆっくりと一定のリズムで撫でてくれた。
何度も、何度も。
その手の温かさがじんわりと伝わり、ようやく少しずつ身体の余計な力が抜け始めていく。
「ねえひろ、一緒にケーキ食べよ?ね?」
敦は僕の顔を覗き込み、話題を変えようと微笑む。
「…っ、その前に怒ってほしい…」
それでも、まだグズグズと引きずってしまう僕。
「いやいや、怒ってって言われても…」
「じゃないと僕の気が済まないの…!しゅんっていつも僕に甘いし…僕がダメになっちゃう……」
僕が本気で悩んでいるのを見て、敦は「参ったな」とでも言うように息を吐いた。
#prtg
@ きみ以外なんて選ばないよ
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