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Side.黄


「賑わってるね、年末だからかな」

ジェシーを連れてショッピングモールを歩く。ガヤガヤしているしすれ違う人も多いから、怖くないか心配になる。

「ジェシー、大丈夫?」

左手をつないだまま訊く。

「んー、うん」

やや曖昧な答えにも笑ってうなずく。「ならいいね」

その表情は、いつものお出かけよりどこかルンルンとしている。外出にも慣れてきたかな、と嬉しくなる。

店内はクリスマスの飾りや商品で溢れている。赤や緑の綺麗なライトが煌々と灯っている。

そこかしこに、サンタクロースもいっぱいだ。

さっき見た置物で、「これはサンタさんって言うんだよ」とプレゼントを持ってきてくれる人の正体を教えると、またもや赤いサンタを見つけたジェシーが声を上げる。

「サンタさん!」

「そうだねえ、たくさんいるね」

しばらく通路を歩いていると、「パパ」と引っ張られる。

「ん、どうした?」

「これ」と興味を示したのは、店頭に置いてあるシマウマのぬいぐるみだった。周りにはほかの動物もいる。

「かわいい。でもほかの動物さんじゃなくていいの?」

うん、と首が動く。

そういえば、この間動物園に行ったときなぜかシマウマに興味を持っていたのを思い出した。理由は分からないが好きになったのだろう。

「じゃあこのシマウマさん、お家に連れて帰ろうか」


シマウマのぬいぐるみが入った袋を嬉しそうに揺らすジェシーと、今度はマミーのプレゼント探し。

「何がいいかなー」

と、お洒落な洋服店のマネキンが付けているマフラーに目を留めた。「お、これかわいい」

深紅のような濃い赤色が素敵だ。

アメリカでも寒いだろうから、きっと温かく過ごせる。

「ジェス、マミーにこれ似合うんじゃない?」

と訊くが、その反応は乏しい。「…違うか」

ジェシーはそのまま店の中に入っていく。「おお、ちょっと待って」

ちょうど目線があう高さのテーブルを見つけた。少し背伸びしてよく見ようとしているのが、かわいい。

「パパ、もふもふ」

どうやらネックウォーマーのことを言っているようだ。そこには、白くてふわふわのファーのネックウォーマー。

「これもかわいいね。じゃあこっちにする?」

ジェシーは笑う。そうか、これがいいか。

「マミー、喜んでくれるといいね」

ニコッと笑い返した。


続く

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