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サイド マオ
「手掛かりがないことが手掛かりになったんだ」
「「???」」
キノとアミが頭を抱えている。……もう少し分かりやすく説明したほうがよかったか?いや、これ以上どういえば……。
「手掛かりがないってことは、防犯カメラに何も写っていないってことだから、そこからルートを特定したってこと……だよね?」
俺が言いあぐねていると、この件のことを全く知らないはずのタエが噛み砕いて説明してくれた。流石の推理能力だな。
ちなみに、この方法はトキの誘拐された場所を探すときに使った技の応用だ。
「あの事故で相手も怪我していない訳がない。だからこそ病院に行って、手当てや服装を変えたりも出来たんだろう」
「そっか……確かに病院には小さめの売店もあるわね」
「ああ。それにあの車、一度もスピードを落としたり止まったりしていなかっただろ」
悪質な轢き逃げでも大抵の場合は衝撃で一度は止まる。
「そうしなかったのは、それが些細なことだと感じるほど大事な目的があると考えたんだ」
「後は必死になって聞き込み!!俺団長なのに置いてかれたんだぞ!一番頑張ったのに!!」
「とてもそうは思えないわね」
「んだとぉ?!」
置いていったのはすまないと思ってる。が、アミが来るなんて想定外だったからな。
ぎゃーすかと言い争いをする二人を見ながら、リオは呆れて、タエは小さく笑っていた。
そして、次の瞬間タエはとんでもないことを口にした。
「まぁ、轢き逃げの目的がアミさんじゃなくて良かったね」
……は?どういうことだ?
見ればキノもリオもタエの方を見て絶句している。アミに至っては、言葉すら出ないようだった。
それに気づいてタエの顔がサッと青くなる。
「っ、ごめんなさい!ぅあ、今のこと忘れて……」
「いやいやいや!何で謝るんだよ!それ、どーゆーことだ?!」
キノ。焦りすぎだ。タエが怖がっているだろう。……とは言えなかった。俺も動揺していたのだ。
「えっと、マオの言う目的がアミさんを怪我させる、殺すことなら手掛かりがないルートを探してたのも頷ける……かな、って……」
「何でそう思った訳?!」
「アミさん、空手とか、柔道とか、いろんな大会で何度も優勝してる……よね?もし、大会で子どもを優勝させたい親がいてもおかしくないかな……って……。ご、ごめんなさい!」
タエはアミに頭を下げる。
謝るのはむしろ俺のほうだ。もし、タエの推理が当たってたら、軽々しく犯人の住所をアミに教えて単独行動させた俺は関節的にアミを傷つけるところだった。
……今の親は子どもを第二の人生と考えてるやつらのほうが多いかもしれないんだ。常に最悪を考える必要がある。
それを俺らはよく知っていたはずなのに。
「もう日付が変わってるぞ。そろそろ俺らも寝ようぜ」
キノの言葉に俺たちは一斉に時計を見た。
本当だ。いつのまにか一時を過ぎている。
「明日……いや、今日はみんなに紹介したいからな」
「初代モンダイジ団の団長を」