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次の日の昼休み、翔と昼食を食べている時に翔が言う。
「そういえば昨日の図書当番、どうだった?」
「まぁ、誰も来ない時は暇だけど、別にそんな大したことないかな」
「そっか。なんか困った事とかなかった?」
「うん。委員会で教えてもらった事やるだけだったし、大丈夫だったよ。まぁ、冬馬先輩が来たのはびっくりだったけど」
「冬馬先輩…あ、佐野先輩のこと?」
翔は不思議そうにそう聞く。
「あぁ、ごめん。本人に冬馬でいいって言われて。でも流石に先輩を呼び捨てする訳にはいかないから」
「確かにそうだね。それで、佐野先輩は何しに来たわけ?」
「本返しに。その後図書室閉める時間までカウンターの近くから見られててなんか恥ずかしかったけど」
「なにそれ。ちゃんとやれてるかの確認?」
「いや。なんか、俺にアピールしてるって言ってた」
俺のその言葉に翔は納得したように言う。
「あぁ。お前が興味ないって言ったやつの報復ね」
「あ、その事なんだけどさ。俺が先輩に興味ないって言ったの聞こえてなかったみたい」
「えっ。そうなの?」
「うん。思わず聞いちゃってさ。先輩に興味ないって言ったの聞いてたのか。そしたら俺に興味ないの?って悲しい顔で言われちゃった」
「へぇ〜。それで、どうしたの?」
翔は興味深そうにそう聞く。
「先輩に興味ないんじゃなくて学校の有名人に興味ないって誤魔化したらもっとアピールするって言われちゃった」
俺がそう言うと、翔はハハッと笑う。
「完全にロックオンじゃん。でもさ、あれ聞いてた訳じゃないならなんで春人に興味持ったんだろうね」
「ほんとに。意味わかんない」
「それも本人に聞いてみたら?」
翔は何故かニコニコの笑顔でそう言う。
「いや無理だよ。なんで俺のこと好きなんですか?とか聞けないでしょ」
(なんで俺に構うんですか?とは聞いたけど…)
「そこは頑張ろうよ。ここまで来たらさ」
翔は再びニコニコの笑顔でそう言う。
「無理だって。てかなんか面白がってない?」
「え〜?気のせいじゃない?」
「うわ〜。わざとらし〜」
「うっせぇ。お前はこれでも食っとけ」
そう言って翔は自分の弁当から卵焼きを取り出し、俺の弁当に入れる。
「あ~。こんなので俺を誤魔化せると思ってんのか〜?」
そう言いながら俺は卵焼きを掴み、口に運ぶ。
「…うめぇ〜!やっぱ翔の母ちゃんの卵焼きには敵わないな〜」
「よし。じゃあ聞いといてね。″なんで俺の事好きなんですか?″って」
翔はそう言ってニコっと笑う。
「…まぁ、聞けたらね」
俺がそう返すと、翔は嬉しそうに言った。
「やった〜♪楽しみ〜」
「じゃあ俺そろそろ行くわ」
「は〜い」
そしてその後、図書室に行き図書当番をした。また冬馬先輩が来ると思っていたが、昼は先輩は来ないらしい。
そして放課後。図書室で当番をしていると、昨日と同様に冬馬先輩が図書室に入ってくる。
「こんにちは。春人くん。今日も来ちゃった」
先輩はそう言ってニコっと笑う。
「また俺のこと見に来たんですか?」
「そうだよ」
そう言って先輩は俺をじっと見つめる。俺は何だか恥ずかしくて目を逸らす。
「そんなにずっと見ないでください。業務に集中出来ないです」
「それってもしかして、俺のこと意識してるのかな?」
先輩はいたずらな笑顔でそう言う。
「違いますよ。なんか気になるじゃないですか。ずっと人に見られてたら」
「まぁ確かにそうかも。俺は慣れちゃったけど」
先輩はそう言って苦笑いする。確かに先輩はいつも色んな人から見られているし、それに慣れるのも納得がいく。
「…なんか大変そうですね。モテるのも」
俺がそう言うと、先輩は嬉しそうに笑う。
「分かってくれる?モテるのは疲れるけど、春人くんには好かれたいな」
先輩のその言葉で翔の言っていた事を思い出す。俺は今なら聞けるかもしれないと口を開く。
「あの、冬馬先輩はなんで俺の…」
そう言い出したが、俺の言葉を遮るように生徒がカウンターに来る。そして、2冊の本を差し出しながら言う。
「これとこれ、返却と貸し出しお願いします」
「あ、はい」
返却と貸し出しの作業をし、生徒が去ると先輩は興味深そうに聞く。
「それで?さっきの続きは?」
「あぁ…えっと…」
(なんかこのタイミングじゃ聞きづらいな…)
「すみません。何聞こうとしてたか忘れちゃいました」
俺がそう誤魔化すと、先輩は残念そうな顔をする。
「そっか。また思い出したら聞いてね」
そう言う先輩の後ろから誰かが来る。坂部委員長だ。
委員長はカウンターの方に来て、俺と斎藤くんに向かって言う。
「お疲れ様。何か困ったこととか無い?」
委員長のその質問に俺は答える。
「はい。大丈夫です」
「俺も特にありません」
斎藤先輩がそう答えると、委員長はニコっと笑う。
「よかった」
委員長はそう言った後、冬馬先輩の方を見る。
「それで、冬馬はなんでここに?」
「春人くんと話してたの」
先輩のその言葉に委員長は納得したように頷いて言う。
「もしかして、いきなり1年生のフロアに来て一人の生徒に詰め寄ってたって噂の相手って、柳くん?」
(そんな噂が…)
「そうだよ。たくさんアピールしてるのに全然好きになってくれなくて」
先輩は悲しそうにそう言う。そんな先輩を見て、委員長はふふっと笑って俺を見る。
「柳くん。冬馬って結構が諦め悪いから、大人しく好きになっといた方がいいよ」
「なっといた方がいいよ?」
委員長に続いて、先輩が目を輝かせながらそう言う。
(なんかちょっと可愛いかも…)
一瞬そう思った俺は心の中で自分で殴る。
(いやいや。何考えてんの)
俺はそう思いながらも平然を装って言う。
「まぁ、好きか嫌いかなら好きですね」
それを聞いた先輩は嬉しそうに笑う。
「じゃあ今度は、″好きか嫌いかなら″じゃなくて即答で好きって言わせるくらい好感度上げないとだね」
(なんでそんなに俺に好かれたいんだ…)
そんなことを思っていると、委員長が先輩の肩を掴んで言う。
「はい。お時間で〜す。退場してくださ〜い」
「ちょっと。俺まだ春人くんと話したいことたくさん…」
「はいはい。それは次の時にね〜。後輩の仕事の邪魔しないよ〜」
そう言いながら委員長は先輩を連れて出口に向かう。
「愛斗のケチ〜」
先輩はそう言いながら委員長に連行されていった。
(仲良しだな。あの二人)
そう思いながら今日も委員会の仕事を無事に終えた。