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次の日、学校に登校し席に座っていると、翔が登校してくる。翔は荷物を机に置いてすぐにこっちに来る。
「春人春人!佐野先輩来た?聞いてくれた!?」
翔は笑顔でそう聞く。
「朝からテンション高〜」
「だって気になるんだもん!ね、佐野先輩来た?」
「ごめん。来たけど、聞くタイミング逃して聞けんかったわ」
「えぇ〜!ダメじゃん!」
頬を膨らませてそう言う翔に俺は呆れて言う。
「そんなに気になるなら自分で聞けばいいじゃん」
俺がそう言うと、翔は焦ったように言う。
「いやいや、無理だよ!あんなイケメンに話しかけれないよ!それに、春人本人が聞いたほうが面白いじゃん」
「いやもう面白いって言っちゃってんじゃん。エンタメにしてんじゃん」
「エンタメになんてしてないよ〜!純粋に。気・に・な・る・だ・け」
そう言って翔はウインクする。
「うわ〜。お前のウインクとかいらね〜」
「うわひど〜。じゃあ佐野先輩のウインクならいいの?」
「それは100%かっこいい」
「はいボロ出した〜。もう先輩のこと好きや〜ん」
翔はニヤニヤしながらそう言う。
「なんでそうなるの。かっこいいって言っただけじゃん」
「だって、俺のウインクはいらないのに佐野先輩のウインクは欲しいんでしょ?」
「欲しいとは言ってないよ〜。100%かっこいいって言っただけ〜」
「でも今想像したわけじゃん?でも嫌じゃなかったって事は、好きじゃん?そんで俺のはいらないじゃん?俺の事嫌いじゃん?」
翔はそう言って不服そうな顔をする。
「あーもう。拗ねないでよ。好きとか嫌いとかじゃないでしょ?あと、翔の事は好きだよ」
俺がそう言うと、翔は嬉しそうに言う。
「も〜!そんな面と向かって好きなんて言われたら照れちゃう〜!」
「照れとけ照れとけ。好きくらいいくらでも言ってやるわ」
「ほんとに〜?」
「ほんとに。なんなら今言ってやろうか?…好き」
「あー!俺の心にクリティカルヒット〜」
そう言いながら翔は胸を両手で抑える。
「お前の心を狙い撃ちっ」
俺がそう言って手で鉄砲を撃つと、翔は「うおっ」と言いながら後ずさる。そこで俺は急に我に返る。
「いや、なんだよこれ」
「何って、俺と春人の戯れでしょ〜。次は佐野先輩にやってね」
そう言った後、翔は俺の言い方を真似しながら言う。
「…好き。お前の心を狙い撃ちっ」
翔はそう言った後、手で鉄砲を撃つ。
「おい。いじんな。てか出来ね〜よ先輩に向かって」
「俺には出来るのに?好きくらいいくらでも言うって言ってたくせに?」
「それは翔だからでしょ〜!先輩は無理。好きはまだしも、お前の心を狙い撃ちなんて言えねーわ。てかむしろ先輩が言ってそう」
「なるほど。それはつまり、先輩にやって欲しいって事だ」
「ちょっと〜。すぐそうやって変に解釈しないで〜」
俺がそう言っている間にクラスメイト達が座りだす。
「あ!もう時間だ!バイバ〜イ」
そう言って翔は席に戻っていった。
その日の放課後、また先輩が来るかと思っていたが、来ることはなかった。
次の日の放課後、図書当番をしていると、図書室に冬馬先輩が入ってくる。
(あ。冬馬先輩。今日は来たんだ)
そう思っていると、先輩はカウンターの方へ来る。
「春人くん。俺は本を読みに来ただけだからね」
そう言った後、先輩は近くの本を取り、カウンターに一番近い机のカウンターの向かいの席に座る。
(なんでわざわざ俺に報告したんだ…)
そう思いながらも先輩を見ていると、先輩がチラッとこっちを見る。だが、俺と目があったらすぐに本に目を向けた。そしてその後、カウンターで図書当番の仕事をしていると、前から視線を感じる。視線を感じる方を見ると、冬馬先輩がこっちを見ていた。だが、先程同様目があった瞬間に本に目を向ける。
(…もしかしてずっと見てる?)
俺はそう思って返却された本の束を持って立ち上がる。
「ちょっと本棚に戻してきます」
「はーい」
斎藤先輩がそう言ったのを確認して俺は本を棚に戻しに行く。最後の1冊を棚に戻した時、不意に冬馬先輩の方を見る。
すると、先輩はこっちに体を向けていた。俺と目が会うと、サッと体を前に戻す。そんな先輩に俺は近づいた。
「冬馬先輩。俺の事見てますよね?」
「何言ってるの。俺は本を読んでるだけだよ」
「そうですか。じゃあなんで先輩とやたら目が合うんでしょうね?」
「気のせいだよ。俺はずっと本を読んでたんだから」
そう言う先輩の持つ本を俺はちらっと見る。
「へぇ〜。でも、先輩が来てから40分くらい経ってるのにページが一ページ目から進んでないじゃないですか」
俺がそう言うと、先輩はしばらく黙った後、口を開く。
「ほらあの、ちゃんと内容理解するために何回も読んでるんだよ」
「そうですか。だったら俺と目が合わないくらい集中して読んだらどうですか?」
「それは嫌だ」
「なんでですか」
「本命は春人くんなんだもん。本は口実。これ愛斗に内緒ね」
そう言って先輩は口元に人差し指を当てる。
「やっと白状しましたね。でも、なんで昨日は来なかったんですか?」
「後輩の仕事の邪魔するなって愛斗に止められたの。だから今日は本読んでくるだけって言い訳してきた」
そう言って先輩はふふっと笑う。
「そんなに俺の事見たいです?」
「うん。だから早く戻って。いつ愛斗が見に来るか分かんないんだから」
そう言って先輩は本に目を向けた。そんな先輩を見て俺はカウンターに戻った。
次の日も同じように俺を見ていたが、坂部先輩にバレる様子は見られなかった。
そして俺の一回目の図書当番は問題なく終わった。
それから数日後の昼休み。俺が翔と話していると教室の外から歓声が聞こえる。気になって廊下の方を見ると、冬馬先輩が立っていた。
先輩は俺と目が合うと、俺に向かって手招きをした。
俺はそんな先輩を見て、先輩の元に向かう。
「どうしました?」
「春人くんと話しに来たの」
「何をですか?」
「えっと…」
そう言って先輩は考え込む。
「佐野先輩佐野先輩!」
突如後ろからそう聞こえて、翔がやってくる。翔は先輩の前に行くと、手招きしながら言った。
「いいこと教えてあげます」
それを聞いた先輩は俺に背を向けて翔に耳を貸す。しばらく二人で話した後、先輩は俺の方に体を向けた。そして俺を見ながら言う。
「お前の心を狙い撃ち」
先輩はニヤッとしながらそう言い、ウインクをしながら手で鉄砲を撃った後、指先にふーっと息を吹きかけた。