🩷はい!俺の勝ち〜!
佐久間の、太陽のような笑顔と、頬に残る柔らかい感触。
そのダブルパンチに、阿部亮平の脳内は、完全にショートしていた。
自分がクイズ番組に出ることも、この勉強会が壮大な“釣り”だったことも、全てが衝撃的すぎて、思考が追いつかない。
ただ、分かるのは、またしても、自分はこの天真爛漫な男に、完膚なきまでに「完敗」した、ということだけ。
💚あーー、、、もう…
阿部は、机に突っ伏したまま、呻くような声を漏らした。
その頭を、佐久間が「よしよし、阿部ちゃん可愛いなぁ」と、楽しそうに撫でている。その光景は、もはやどちらが先生で、どちらが生徒なのか、全く分からなかった。
数日後。
楽屋のソファで、阿部は深澤辰哉と渡辺翔太の間に座り、深刻な顔で腕を組んでいた。
💚ちょっと…聞いてほしいんだけど
💜んー?なに?
スマホをいじりながら、深澤が気のない返事をする。
阿部は、真剣な眼差しで、二人に問いかけた。
💚俺って、どうやったら佐久間に勝てると思う?
その、あまりにも真剣で、あまりにもピントのずれた相談に、深澤と渡辺は、ぴたり、とスマホをいじる手を止めた。
そして、顔を見合わせ、数秒の沈黙の後。
💙えー、しらねぇよー
渡辺が心底面倒くさそうに、そう吐き捨てた。
彼の興味は佐久間に勝つ方法よりも、次の美容院の予約のことで頭がいっぱいなのだ。
💙つーかお前さ、佐久間にとことん完敗してんじゃない?今さらじゃね?
💜まあな。あべさくってそういうもんだろ
深澤も渡辺の言葉に同意するように、ケラケラと笑う。
そのあまりにも他人事で、非協力的な態度に阿部はカチンときた。
💚あの、僕は真剣に、戦略的アドバイスを求めているんですけど
阿部が少しイラっとした声で言うと、渡辺は大きなため息をついた。
💙だからぁ、真剣に言ってやってんじゃん
彼は、スマホをソファに置くと、呆れたように阿部の顔をじっと見た。
💙お前がどんなに頭使って作戦練っても、さっくんは、その斜め上を、感覚だけでぴょーんって飛んでくんだよ。お前が勝てるわけねぇの
💜そもそも、勝負してんのお前だけだろ。佐久間は、お前とプロレスしてるだけ
深澤の言葉が、ぐさりと胸に突き刺さる。
確かに、そうだ。いつだって、本気で勝ち負けにこだわっているのは、自分だけなのかもしれない。
💚…じゃあ、どうすれば…
弱々しくなった阿部に、渡辺は、最後のとどめを刺すように、言った。
💙もう諦めろ。 そして一生、佐久間に負けとけ
💜それがお前の役目だろ
あまりにも身も蓋もない。
しかし、的確すぎるアドバイス。
阿部は、ぐうの音も出なかった。
💚…ひどい…
ぽつりと呟いた阿部の両肩を、深澤と渡辺がポン、と同時に叩いた。
💜まあ頑張れよ!阿部ちゃん
💙俺らはお前らのプロレス、観客席でポップコーン食いながら見てるからさ
そう言って二人はまた、何事もなかったかのようにスマホの世界へと戻っていった。
一人、ソファの真ん中で取り残された阿部は、ただ天を仰ぐことしかできない。
どうやらこの愛しいゲームに、終わりはなさそうだ。
そしてそのゲームの勝者が自分になることも、きっと、永遠に。
(…まあそれも、悪くないか)
結局、そう思ってしまう時点で、阿部の「完敗」は、もう確定しているのかもしれない。
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真剣に悩んでる阿部ちゃんかわいい🩷🩷🩷 続き楽しみに待ってます!!!