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ミリス
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「……おい、蓮。貴様、今朝から一度も拙者と目を合わせておらんぞ。その四角い板に魂でも吸い取られたのか?」社務所の縁側で、コマが呆れ果てた顔で蓮を見上げていた。
蓮の目は血走り、指先は鬼のような速度でスマホの画面をスワイプし続けている。
「黙ってろコマ……。今、限定の超レアカードがもらえるイベントのランキング走ってんだよ……。あと1時間で順位が落ちたら、これまでの課金と徹夜が全部無駄になる……!」
「ダメじゃ、完全に手遅れの重症じゃ……!」
蓮の全身からは、ドロドロとした紫色の霧が湧き出し、スマホの画面と彼の脳を直接太いコードで繋ぎ止めていた。それは、終わりのない通知と報酬系に脳をハックされた現代人の末路――『SNS・スマホ依存の寄生虫(画面の縛り縄)』だ。
『タイムラインを確かめろ』『通知を見逃すな』 『ログインボーナスを回収しろ』
「(あー……頭が痛ぇ。でもスマホを置いたら、何か重要な情報を逃す気がする……離せねぇ……)」
その時、境内にフラフラとした足取りで倒れ込んできたのは、地元の高校生・ユウタだった。
彼の目も蓮と同じように落武者のように窪み、背後には蓮の倍以上の大きさを誇る『画面の縛り縄』の怪異がドスンと鎮座していた。
「神主さん……助けて……。スマホを置いて勉強しなきゃいけないのに、画面を閉じようとすると猛烈な不安に襲われて……。夜も眠れずに朝までショート動画を見続けて、もう生活が破綻してるんです……っ!」
「(……クソっ、俺と同じ重度のデジタル中毒者かよ……)」
蓮は血走った目をなんとかユウタに向け、震える手で電卓を叩いた。
「ボウズ……。お祓い代は……特別価格の15万円だ。……その代わり、お前と俺の頭にこびりついてるこの『電子の麻薬』を、まとめて物理で断ち切ってやる……!」
「蓮! 貴様も一緒にお祓いされる気か!?」
「当たり前だ! 俺もこの不毛なランキングレースから解放されたいんだよ!」
蓮は執念でスマホを放り投げ、懐からロゴ入りのタッチペンを抜いた。
「コマ! 電源を切る覚悟(神力)をよこせ! 現代人の脳みそを解放するぞ!」
「おうともさ! たまには己の愚かさを認めたな、クズ神主! 本物の神威で見つめ直すが良い!」
コマが眩いばかりの純白の神力を爆発させ、社務所全体を包み込む。その聖なる光が蓮のタッチペンに集約され、ペン先からデジタル波を強制的にリセットする「完全シャットダウン」の強力な青いプラズマが弾けた。
蓮は自分とユウタに巻き付く怪異のコア――『脳内のドパミン依存回路(データ)』を見定め、タッチペンを大きく一閃させた!
「画面の外にもな、美味い飯と青空はあるんだよ! ――強制電源オフ(電源ボタン長押し)!!」
ズガァァァン!!!
社務所に突き抜けるような清涼な衝撃音が響き渡った。
寄生虫の怪異は「バッテリーが切れました」という悲鳴と共に、シュレッダーにかけられた「ただのノイズの紙屑」となって空中に弾け飛び、消滅した。
同時に、社務所を包んでいた重苦しい空気が一瞬で吹き飛び、爽やかな境内からの風が吹き抜けた。
「あ……? 頭が……軽い……! スマホを見なくても、全然不安じゃない……!」
ユウタはハッと目を見開き、自分の両手を驚いたように見つめた。
「ありがとうございます、神主さん! 僕、久しぶりに公園で散歩してきます!」
ユウタはお祓い代を支払うと、晴れやかな顔で走っていった。
……そして社務所。
「……ふぅ。頭がスッキリしたわ」
蓮は縁側に腰掛け、静かにお茶をすすっていた。
「よかったのう、蓮。これでスマホの呪縛から逃れられたな」
「あぁ。……ところでコマ」
「なんじゃ?」
「イベントのランキング、お祓いの衝撃でアプリ落ちて最終1001位(圏外)に落ちてたわ」
「……」
「……」
「……おい蓮、タッチペンを構えるな! 拙者に当たっても順位は戻らんぞ! 落ち着けクズ神主――!!!」
拝金主義のクズ神主。彼の冷徹なタッチペンは、時に自分自身の愚かな依存症すら強引にお祓いしてしまうのだった。
コメント
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第20話読んだよ!スマホ依存の怪異を「強制電源オフ」で祓う発想、めっちゃツボったわw 蓮も自分ごと祓おうとするところがクズ神主らしくて笑えるし、最後のランキング圏外オチで全部持っていかれた。コマの「拙者に当たっても順位は戻らんぞ」が名ツッコミすぎる🔥