【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
犯罪組織と戦うメンバーさんの、戦闘パロ のお話です
「まろ、ここにおったん?」
夜になってベランダで酒を呷っていた俺に、部屋から顔を出したあにきが声をかけてきた。
その日一日りうらの看病で疲れているはずのあにきは、それでも表情に出さない。
一息つこうと思ったのか淹れたばかりのコーヒーを持ち、そのカップからは湯気が立ち上っていた。
「俺、今日はこのまま夜通しりうらの様子見るわ」
「代わろうか?」
「いや、大丈夫。もう落ち着いとるし、念のためってだけやから」
俺の隣までやって来て、あにきはベランダの柵側にもたれる。
熱いコーヒーを一口啜ってから、「…ほとけに聞いた。データのこと」と小さく付け足した。
「…うん」
「まろ、大丈夫か?」
「え?」
ないこの話を聞いたというあにきから1番に飛び出した言葉に、俺は思わず首を捻る。
ないこについての感想や何やらよりも、こちらを労うような言葉があにきらしいとは思うけれど。
「何で? 大丈夫やで」
「…仲間やのに疑心暗鬼になるんはきついやん」
「そんなん皆同じやんか」
「いや、だってお前は…」
言いかけた言葉を、あにきはぐっと飲み込んだ。
代わりにため息をついて、またコーヒーを飲む。
「まぁえぇわ。それより俺がりうらの看病で初兎を部屋から追い出すから、お前のベッドに初兎寝させたって」
「…俺はどないするん」
しかもほとけとしょにだは「そういう関係」なんだっけ?
完全に居場所がない。
「俺のベッドで寝たらええやん」
続けたあにきの言葉に、「またそれか」と小さく息を漏らした。
「まろ、俺はさ。ないこのこと疑ってないから」
急に話を改めたそんなセリフに、俺は数回瞬きを繰り返す。
ベランダの手すりに体重を預けた態勢で、あにきを凝視した。
「でも…多分りうらとほとけは無理やろ。仲間を信じたい気持ちと、自分が見聞きした現実で葛藤しとると思う」
「……」
「やから、あいつらのためにもお前がないこを見守っといてほしいねん」
『見張れ』とは、あにきは間違っても口にしなかった。
恐らくないこのことを疑っていないというのは事実なんだろう。
「あにきは何でそこまでないこのこと信じれるん?」
尋ねた俺に、きょとんと目を丸くする。
「だって仲間で家族やん。それに俺がないこの怪しいところを実際に見たわけやないし」
あにきらしい端的な一言に、俺は思わず苦笑を漏らしてしまった。
「男前やなぁ、あにきは」
「まろは? ないこのこと信じられへんの?」
「……何とも言えん」
そう答えるしかなくて、チューハイの缶を握る手に力を込める。
「正直俺は、皆みたいにないこと付き合いが長いわけでもないし」
「…まぁ、そらそうか」
責めるわけでもなくこちらの感情に寄り添うように言って、あにきは小さく頷いた。
「あにきはさ、それだけ無条件に信じて…もしほんまに裏切られたときはどうするん?」
こちらの問いに、手すりにもたれていたあにきは一瞬不思議そうな目を向ける。
そしてそれからニヤッと笑ってみせた。
「ないこのあの整った顔に往復ビンタくらいはするかな」
「…そんなんですむん?」
「グーはさすがに痛そうやん」
「…ふふっ、やっぱあにきは男前やわ」
笑って言って、俺は頭上の夜空を見上げた。
手を伸ばせば掴めそうだと子供の頃は思っていた星が、それでも叶わないと今は知っている。
近いようで遠いそれが、まるで今のないこみたいだと漠然と考えた。
寝るときになってないこの部屋を訪れると、あいつはさっきの俺と同じような反応をした。
「また?」
苦笑を浮かべて言うないこに、俺は「…な」と小さく同意する。
「あにきがしょうちゃん追い出したんだったら、しょうちゃんがこっち来るのかと思ってた」
「しょにだはほとけがえぇんやろ」
「……あー…なるほど」
2人の事情は知っていたのか、ないこは一つ頷いて返す。
…本当はないこに疑念を持ち始めたほとけが、しょにだとないこを一緒に過ごさせるのを阻止したかったというのもあったのだろうけど、その事実は伏せておく。
加えて、あにきが俺をないこの「見守り係」にしたかったのだろうという事実も。
「明日、また任務入っとったよな」
確認しながら、あにきのベッドに横になる。
そんな俺を見下ろしながら、ないこは「うん」と小さく応じた。
「りうらは無理だろうから、4人だね」
あにきはいつも通り後方支援に置いておくのだろう。
そう告げてきた言葉に「了解。おやすみ」とだけ短く応じた。
寝返りを打つようにして、ぐるりと背を向ける。
染み一つない白い壁に向き合う形で、俺は毛布を肩まで引き寄せた。
「…まろ」
それを黙って見ていただろうないこが、小さく呼びかけてくる。
降ってきた声に、俺は肩ごしに振り返った。
「…電気…」
控えめにそれだけ言うないこに目線だけを返して、手をヒラヒラと振る。
「点けたままでえぇよ。もう慣れたから」
「……いや、消そうと思う」
そんな言葉を継ぐものだから、俺は思わず体ごとそちらを振り返った。
「え?」とないこの顔を見上げると、あいつは冗談でもなんでもなく真顔でこちらを見つめている。
何か覚悟を決めたような、そんな表情で。
「無理やろ。ついこないだ…」
言いかけた俺の言葉を、力強く首を横に振って遮る。
「…多分、大丈夫」
何の根拠があってそれ?
疑問に思うと同時に少しの苛立ちを感じたのは、最近のこいつの考えが全く読めないからだろうか。
「まろが、いてくれたら大丈夫」
甘えるように伸ばされた手が、俺の顔の前で止まる。
「……」
吐息まじりにその手を一瞥した後、俺は体を起こしてそれを握り返した。
「しゃあないなぁ」と呟いて、そのままないこのベッドに移動する。
互いに向き合う形になっていつも通り横になった。
ないこの希望通り部屋の照明を落とす。
その暗闇の中で、少しでも不安を拭えるように手を重ね合わせたまま力をこめた。
もう反対の手は目の前のピンクの髪を撫でる。
気持ち良さそうに目を細めたないこは、それでもさっきと同じで何かを覚悟したような眼差しをしていた。
…あのパニックが、過去の何かに囚われたものだとしたら。
今まさに、それを振り切ろうとしいているのかもしれない。
「昨日も思ったけど、まろ、服の下にネックレスつけてんだね」
横になったせいで服の中からサラリと流れ落ちた俺のネックレスを指さして、ないこはそんなことを言った。
普段は服の上に出すことはないから、昨日目の前で脱ぐまでは気づかなかったんだろう。
ゴールドのチェーンの先には少し厚めのプレートのチャーム。
撫でるようにないこの指先が触れる。
「かっこいいね」と呟くから、これを初めて身につけたときのことを思い出した。
「そう? 俺はあんまりそう思わんけど」
その俺の口ぶりに、自分が気に入ってつけているわけではないと分かったようだった。
大きな目を丸くする。
「…誰かにもらったの?」
「…まぁ」
濁して応じると、暗闇の中でも分かるほど途端にその表情が曇った。
眉を寄せて、傷ついたような悲しそうな目をする。
「何その顔。別にそういうんちゃうし」
昔の恋人か何かにもらったとでも思ったんだろう。
笑ってそう言うと、ないこは小さく息をついてこちらに頭を寄せてきた。
甘えるように首にすり寄るから、微かに香る香水の匂いが鼻をぬけていく。
甘い花のような香りに目を閉じて、それきり言葉を交わすことなく互いに手を握りあったまま眠りについた。
「まろ、寝ちゃった?」
どれくらい時間がたった頃だろう。
ウトウトしていた…というか、正直完全に意識を手放していた。
そんな耳に囁き声が聞こえたから、遠のいていた意識が呼び戻される。
でもなぜかここで目を開けてはいけない気がしたから、俺はそのまま寝たフリをした。
「……」
目を閉じたまま返事をしない俺に、完全に寝ていると判断したのかないこは握ったままの手に少しだけ力をこめた。
俺を起こさない程度の、優しい力だった。
「…ごめんな、もう戻れないんだ」
次にもたらされたそんな言葉は、ないこ自身の悲痛な想いを表しているかのように切ない響きを湛えていて。
「どこに」戻れないのかは口にしなかったけれど、あいつが苦しそうな表情をしているのだろうということは想像できる。
「好きだよ、まろ」
続いたそんな一言は、愛の告白のはずなのに重い懺悔のようにしか聞こえなかった。
コメント
4件
なんだろう、、桃ちゃんがなにかに縛られている感じがする、、元彼に脅されてるとか?そんな感じなのかな、、?
黒さんのにやっと笑うのが好きです! 桃さんが青さんに擦り寄ってるの可愛いすぎます、そもそも2人で寝てるのが尊いです! 桃さんはどこに帰れないんでしょうか……🤔楽しみです!
もう黄さん優しすぎますぅぅ!! 裏切ったら○すじゃなくビンタとか黄さんはすごく家族思いだなと感じました૮(˶ᵔ ᵕ ᵔ˶)ა 本当、桃さんは何を隠してるんでしょうね…( ᴗ‸ᴗ ) お話を見るたびに謎が増えてきます…