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今日は珍しく任務が無い、霊弍は久しぶりにガオンモールへ買い物に出掛けた。
ガオンモールとは、表向きではただのショッピングモールだが、裏社会向けの品も扱っているため裏社会の人も良く使うのである。
さて、霊弍はガオンモールに何しに来たかと言うと、忍具の調達と注文していた武器が届いたと連絡が入ったのでそれを貰いに来たのである。
霊弍が到着したのは武器などを取り扱う店、[かねきち]である。
表向きは包丁などを販売しているが裏では武器なども取り揃えている大正創業の老舗店なのである…月1で行う武器の特大セールが人気な店だ。
(かねじぃ!俺が注文してた武器届いたんだって?)
(あぁ…つい昨日になぁ)
(待ってたんだよ、それと最新型の忍具って入荷してたりするか?)
(あるぞ、そこらへんにおいてあるはずじゃ…)
(どれどれ~あ、これか…クナイと手裏剣か…見たところクナイは合金素材で錆びにくく強度もあって軽い…対して手裏剣は刃の部分に返しが付いてるからそう簡単には抜けないし、小型タイプだから暗殺にも使える…)
(右手の手裏剣は先月完成したばかりの新作だよ)
(う~ん…やっぱクナイかな…)
(ほっほ……やっぱりクナイの方が手に馴染むかい?)
(そうだな、子供の頃から使ってるしな)
(かねじぃ、会計頼む)
しばらくすると、かねきちから霊弍が出てくるのであった。
そして、次に向かったのがとあるカフェである。そこは裏社会の人も愛用するカフェで、裏社会人から特に人気なのは希少茶葉[ダークスイート]を使ったミルクティーである。ちなみに、表社会での人気商品はその季節の果実を使ったスムージーだそう。
(へ~ここが零のオススメしてたカフェか…普段任務で行ってなかったからな)
カフェに入るとそこはいかにも宮殿の内部の様な見た目をしている。ところかしこに散りばめられた装飾品の下には観葉植物が並び、天井には大きなシャンデリアが備え付けられ、スピーカーからは西洋の音楽らしき曲が流れているのだった。机もちゃぶ台の様な物ではなく、卓球が出来る程大きく横には椅子が4個づつ向かい合い、キッチンにはコーヒーメーカーやソフトクリームメーカー、スムージー様のミキサー等が置いてあり、棚には各国の高級な茶葉やコーヒー豆が置いてあり、一番目立つ大きな棚には希少茶葉の[ダークスイート]が置かれている。
(へ~豪華な内装だな~)
霊弍は早速カウンター席に座ると、目の前にはいかにも”プロ”の雰囲気を出した若い男性の店主が1人背中を向けて佇んでいた…
(お客様…ご注文は?)
冷静な滑らかな口調で霊弍に注文を尋ねる。
(え~っと…なら、季節の贅沢果実スムージーを頼む)
(かしこまりました)
慣れた手付きで果物を切り、ミキサーに掛けていく。
(ところで、お客様はどうしてこちらへ?)
作業の合間に霊弍に質問を投げ掛ける。
(あぁ、妹がオススメしてくれたんだ)
(妹と言うのは夜桜零様でございますか?)
(そうそう)
(零様は普段から私の店を愛用してくれている常連様ですので…私はこれまでにご来店して下さったお客様の顔、声、見た目、名前、年齢を全て存じ上げております)
(凄…)
(そして、あなたは夜桜霊弍様でございますね?)
唐突に霊弍の名前を口から放つ。
(そうだけど、なんで知ってるんだ?)
不思議に思い、霊弍は店主に聞く。
(零様が普段から教えてくれるのですよ…お兄ちゃんはカフェとかが好きだからここおすすめしたいな~と…)
(へぇ~零がねぇ~)
(零様のお話を聞いているとお二人は本当に仲が良いのですね)
(その通り、零は俺の可愛い妹だからな)
そう話していると同時にグラスに注がれたスムージーが目の前に置かれる。
(お、来た来た)
霊弍はグラスのストローを咥え、一口飲む。
(美味っ!)
スムージーの驚異的な甘さ、酸っぱさに驚きを隠せず称賛の声を放つ。
(それは何よりです)
(ちなみに、零様もこれを毎回注文致します)
(あ、零もこれ飲むんだ)
スムージーを飲み終えると、店主に尋ねる。
(ここってテイクアウトって出来ますか?)
どうやら、零にお土産として持って帰りたいらしい。
(はい、出来ますとも)
(それなら、さっき飲んだスムージーテイクアウトします)
(かしこまりました)
テイクアウト用のカップにスムージーを注ぎ蓋をし、ストローと一緒に袋に入れる。
(こちらでございます)
袋に慎重に入れられたスムージーを霊弍に渡す。
(ありがとうございます。それと、お会計お願いします)
(テイクアウト用と合わせまして、1,980円となります)
(安っ!?)
あの美味しさでこの値段という衝撃にまた声を漏らす。
(じゃあこれで)
霊弍はきっかり1,980円を財布から取り出し、店主に渡す。
(はい、しっかり1,980円頂きました。またのお越しをお待ちしております)
と、店主は深々と頭を下げるのだった。
(うん、また来るよ)
そう言い、霊弍はそのカフェを後にしたのだった。
後々判明した事だが、あのカフェは元金級の店主が開店した店なのだそうだ。
(ただいま~)
霊弍は屋敷の扉を開け、玄関に入る。
(おかえり、お兄ちゃん)
零がリビングから顔を出す。
(零、零がおすすめしてたカフェ行ってきたよ)
(あら、どうだった?)
(めちゃくちゃ美味しかった)
(でしょ?あそこ本当に美味しいからお兄ちゃんに是非行ってほしかったの)
(それと、テイクアウトしてきた)
(何を?)
(これだよ)
袋から先程飲んだスムージーを取り出す。
(これ!私が好きなやつ!)
(零も飲んでるって知ってさ、テイクアウトしてきたんだよ)
(ありがとう、お兄ちゃん)
零が微笑む。
その日以来、あのカフェは霊弍の任務終了後の行き着けの店になるのであった。