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朝霧が立ち込める中、不穏な静けさに包まれていた。上杉謙信の軍がついに京の大路を守り抜き、目に映る限りすべてが彼の支配下に入ったことを知らしめた。堂々たる行進は、朝廷の命運を担う新たな覇者の到来を告げるものだった。
御所の門前にて、上杉謙信は自ら馬を下り、重々しく扉の前に立つ。瞳には揺るぎない決意が宿り、その姿は天命を受けた武将そのものだった。彼は将軍の前で膝を折り、静かに口を開いた。
「京の地を、そして朝廷を守る責務を、上杉家が背負わせていただきます。」
天皇は感嘆の眼差しを向け、慎重に言葉を紡いだ。
「謙信殿、貴公の忠義に感謝する。一連の戦乱を終わらせ、朝廷を平和へと導くため、しばしこの京に留まっていただきたい。」
この命に応じ、上杉謙信は将軍に深々と頭を下げた。その後、彼は自らの軍を京都に配備し、街の隅々まで守備を固めた。主要な城門、御所の周囲、寺院や神社――上杉家の守りに包まれた。
だが、謙信の心中は、守るだけに満足してはいなかった。戦のさなかで彼は、家の名をさらに轟かせ、天下にその力を見せつける必要を痛感していた。そこで彼は驚くべき宣言を行う。
「私はこの京に一年間滞在し、朝廷を守り抜く。それこそが上杉家の名誉であり、この地を安定させるための唯一の道である。」
その言葉に兵たちは歓声を上げ、街の民たちもまた安堵の表情を浮かべた。謙信の名は瞬く間に京の隅々まで広がり、彼の威光は周辺の諸侯たちにも大きな影響を及ぼした。
織田信長は、愛知、岐阜、滋賀などを確実に掌握し、次なる一手を考えていた。彼は京を諦めておらず、上杉を注視していた。
武田信玄は、長野、静岡、山梨を支配しつつも、対立を避けるよう慎重に行動していた。信玄の狙いは、東海道を押さえ、織田と上杉の動きを牽制することにあった。
それぞれの覇者が天下を巡る戦略を練る中、京都を中心とした日本全土は新たな局面を迎えようとしていた。
第六話「動き出す覇者たち」
上杉謙信の京都制圧が確立する中、織田信長と武田信玄は次なる戦略を打ち出す。信長は密かに忍びを使い、上杉の守りを揺るがす策を実行する。一方、武田は東海道に向けた進軍を加速させ、上杉と織田の戦いを利用する腹積もりだった。天下三分の計が描かれる中、新たな勢力が姿を現す。上杉、織田、武田――それぞれの決断が運命を大きく変える瞬間が迫る!