上杉謙信が京都を制圧し、朝廷の護衛に注力している間にも、天下の覇権を巡る戦乱は新たな展開を迎えようとしていた。織田信長と武田信玄――二人の名将は、それぞれの戦略を胸に秘め、次なる行動を起こし始めた。
岐阜城の天守から遠くを見渡す織田信長の目には、冷徹な光が宿っていた。彼の手には、一枚の報告書が握られている。それは、武田家の動きを探るため送り込んだ忍びからの密書だった。
「信玄め、東海道を制圧し、上杉を背後から狙う腹積もりか…。だが、奴が早いほど、こちらの策も生きる。」
信長はそう呟き、脇に控える家臣たちを見渡した。
「忍びを送り込み、武田家を封じる諜報戦を開始せよ。進軍を混乱させ、その隙にこちらの軍を整える。」
命令に応じて、信長の忍者たちは出発した。彼らの任務は、情報集めだけでなく、分裂を引き起こす火種を撒くことであった。
その頃、甲府城では武田信玄が重臣たちを集め、北条氏康への出陣を決定していた。北条家が盟約を破り、織田との密約を交わしたとの情報が入ったためである。
信玄はゆっくりと立ち上がり、静かながらも鋭い口調で命じた。
「北条の裏切りは、武田家の誇りを汚す行為だ。直ちに進軍し、小田原城を陥落させよ。」
その声に、重臣たちの士気は高まり、一同が頭を下げた。信玄はさらに続けた。
「ただし、上杉とも織田とも全面対立は避けよ。東海道を抑え、時が来るまで力を蓄えるのだ。」
武田軍は迅速に動き、小田原を囲む布陣を固めた。武田家の兵はまさに雷の如く攻め寄せていた。
上杉、織田、武田――それぞれの動きが加速する中、天下の隅々では別の勢力が静かに息を潜めていた。彼らは三者の戦いを利用し、自らの台頭を狙う野心を燃やしていた。
北陸から動き始める前田家、九州で勢力を広げる島津家――日本全土が再び、混乱と戦乱の渦に巻き込まれようとしていた。
第七話「朝廷の未来」
上杉謙信が京都を完全に支配し、その地で朝廷と幕府との結束を強化する。しかし、平穏の裏には陰謀が蠢いていた。謙信は朝廷を守る使命を果たすべく新たな挑戦に挑む。一方、織田信長と武田信玄の戦略は複雑に絡み合い、やがて激しい衝突を生む。果たして謙信の野望は天下に届くのか――そして、朝廷と幕府の未来は如何に?
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