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― 午前 0:30 ―
「よしっ、通話終わり〜!」
要件が終わったから〜、と言って電話を切ると、携帯を椅子に放り投げて布団に寝転がる。
天窓からは、夜空の中で光る星と月だけが見えていて、どこか遠い世界の様に見えた。
綺麗だな〜…と思いながらも暫くそうしていると、ピロン!と通知音が鳴る。ぼーっとしていた意識から現実へと引き戻した音。
その音の出所となった携帯を手に取り通知を確認したけれど、内容としてはどうでもいい通知だった。
「にしても…皆が居ないと静かだなぁ…。」
…淋しい。
皆に会いたい。また皆で笑って、ふざけて、そうやって楽しく過ごしたい。
(僕の人生…誰かが居ないとこうも何も無いっけなぁ…。)
あはは、と思わず苦笑いをする。
今日会ったばかりなのに、どうしてもう会いたいと思ってるんだろう?
「…はぁ…こうも真面目に考えるなんて僕らしくない…。」
これ以上気分が下がるのは嫌だ。今、ただでさえ限界に近いっていうのに。
頚を横に何回も降って気持ちを切り替えようとして、寝転がる体制で天井を見つめた。
夜空の中できらりと光る星と、明るく周りを照らす月。天井を見れば嫌でも視界に入るその光景は、とても綺麗なものだった。
けれど僕は、何だか遠い世界を見ている様になって、今だけは悲しい景色に見えた。
― Ⅱ 蝋燭から消えた焔 ―