テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
― 午前 1:00 ―
「…今日に限っては、完全にやらかしたわね…。」
ぱちん、と明かりを消すと、そう呟いて窓を開ける。今日は普段よりも風が強く吹いていて、風は勢い良く部屋に入ってくる。
遮光カーテンは揺れ動き、私の髪はばさっと荒れ、部屋にある軽い者達はカタン、とその場から僅かに動く。
今日の夕方、下校前。
私はある事を、星玉にだけ伝えた。
彼女なら最良の選択肢を取って、きっと私の意思を汲んで動いてくれる、と、そう信じたから。
彼女に伝えたある事、とは、私が今日やらかしてしまった事。
そしてそのやらかしてしまった事とは、今日の検証検査の話について。
私は今日、検証検査に引っ掛かってしまった。先生には「親の影響かもしれないから、今日帰ったら聞いてみる」と言って誤魔化したけれど、そう長くは持たない事なんて目に見えている。
…私のせいで、皆を巻き込むかもしれない。
風はいつの間にか弱くなっていて、僅かに家の屋根ゝに登っている小鳥の鳴き声だけが聞こえてくる。
大丈夫、星玉には伝えるべき事は伝えた。
これで何かあっても、最悪の事態にはならない筈。きっと彼女なら、上手いことやってくれる。
…信じてるからね、皆。
― Ⅲ 何にも染まらぬ決意の夜 ―
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!