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『』西川side
もう日が落ちてきた頃、私は日向と影山の自主練に付き合っていた。
『・・・うん!日向レシーブ分かってきたね!』
『目指せ西谷さんだー!!』
日向「おーーう!!」
ボールを拾おうとしゃがんだまま私を見上げ明るく笑う日向。
(どことなく夜久さんと似てる・・・)
日向「ありがとなー西川!西川のおかげで俺できるようになってきた!」
『いえいえ、日向が頑張ってるからだよー』
日向「そうか?!」
いつも通り元気いっぱいで話していると、ガラガラと扉が開く。菅原さんだ。
菅原「こらー!そろそろ帰りなさいよー」
日向「はーい!」 影山「うす。」
菅原さんは日向たちと軽く会話をしてからこちらに駆け寄る。
菅原「西川ー、今日も一緒帰るべ!」
『はい!もちろんです!』
菅原「俺この後ちょっと用事あるから待たせちゃうけど・・・」
『大丈夫です!待ってますね!』
菅原「ありがとなー、じゃあ行ってくる!」
菅原さんが体育館から出ていくのをみてから、私はネットを片付け始めると、日向が扉に向かい振り向く。
日向「俺先着替えてくるー!」
日向「後で手伝うから!ごめん!!」
『おー!いってらっしゃい!』
私が答えると日向は走っていった。
(ボール拾うのめんどくさいなー・・・)
(勝手に拾ってくれる機械欲しい・・・)
頭の中で愚痴を漏らしていると、視界の端に靴が止まる。
影山「俺も手伝う。」
『え?!休んでていいよー!』
影山「いや、俺がやりたい。」
『そー?ありがとう!』
言動はあっさり目だがちゃんと優しい。
(・・・・・・よし!これで最後、っと・・・)
カゴに全てのボールを入れ終わり、影山と体育館倉庫に入る。
『日向って覚えが早いよねー!楽!』
影山「・・・そうか。」
『すぐなんでも出来ちゃうし、出来ないことがあったら頑張るタイプ!』
『なんか夜久さんみたいでいいなーって!』
影山「・・・・・・チッ、」
『あ!てか夜久さんが、』「おい!!!」
『?!』ビクッ
突如として影山が大きな声を出した。
普段クールな影山とは全く違うドスの効いた声。私は驚いて少し離れている影山を見る。
(お、怒ってる、?!)
(なななに?!なんかしちゃった?!)
『か、影山・・・?』
影山「さっきから日向とか夜久さんとか、」
影山「お前は、!俺だけ見るんじゃなかったのかよ!!」
『え・・・、え、?!』
『ちょっと待っていつ言ったそれ??!』
影山「・・・初めての音駒との練習試合。」
『そ、そんなこと・・・・・・あ』
(よーく思い出すと、言ってたような、??)
(で、でも、聞き逃してた!!)
『い、言ったかも、しれない・・・』
影山「約束破んなよ、!西川は俺だけ見てればいいんだ。ずっと。」
『えぇ・・・なぜに、?!』
影山「・・・俺は、お前しか見てねぇ。」
『へ・・・え?!?!』
(そ、それ・・・どういう意味?!)
頬が一気に熱くなる私。しかし影山も耳を真っ赤にしてそっぽを向いている。
(ちょ、えぇ・・・??)
私が混乱している時に、事件は起こった。
ガタンッッ 『わ?!』
体育館倉庫の扉から、大きな音が響く。
(な、なんだ?・・・・・・ってえ??)
なにかと扉を開けようとすると、何故かガチャガチャと音を立て全く開かない。
(やば、!なんで・・・)
(ってあー!!!ほうきか・・・!)
私は扉の横に置いてあるほうきを思い出す。
きっとあれがつっかかっているのだろう。
(ちゃんと片付けておけば・・・!!)
(でも、原因はわかった、!)
どうして開かないかが分かったのはいいが、本題はここから。
今、影山と二人きりであること。
(い、いまはほぼ夜!)
(体育館には日向も菅原さんも居ないし、)
(どうやって出るか思いつかない、!!)
状況を理解した私が涙目になっていると、先程から見ていた影山が口を開く。
影山「? どうかしたか?」
『じ、実は・・・扉が開かなくて・・・、!!』
影山「・・・・・・ほんとか。」
『ほ、ほんと、!!どうしよう!!😭』
(なんでこんな時も冷静なの?!)
やけに落ち着いている影山。
私はそんな影山に衝撃を受けつつ扉を強く押したり色々試していた。
(うー・・・何しても開かない!!)
すると少し黙っていた影山がいつものトーンで話しかけてくる。
影山「・・・西川、暗くて危ない、から、そっちいってもいいか?」
少し離れている影山が真顔で言ってきた。
『え、あ、うん!』
私が答えると体育用マットに座っていた私の隣に座る影山。なんか、近い。
『大丈夫?暗いの苦手?』
影山「いや、そういう訳じゃねえけど。」
『さ、寒いね・・・』
影山「ああ。西川、平気か?」
『あ、うん、!へ、平気・・・かな、?』
(ほんとは全然平気じゃない!!)
異様な寒さに凍えていると、影山が体をピッタリとくっつけてきた。
『うぇ、?!か、影山?!』
影山「暖かいだろ。」
『え、いや暖かいんですけども、距離が・・・』
体と顔がじわじわと熱くなるのを感じる。
影山「お前、顔真っ赤だぞ。」
『い、ぃわないで!』
影山「・・・・・・」 『・・・・・・っひゃ?!!』
しばらくの沈黙を挟んだかと思えば、突然私の腰に手を回す影山。
私は驚いて飛び上がり扉にもたれかかった。
(な、な、ななななに?!?!)
(い、いま!こしにて、!!)
過去一の顔の熱さを感じながら混乱していると、無言のまま影山がこちらに歩いてきて私に覆いかぶさった。
もう視界には影山しかない。
『きゃ、きゃげやまゃっ、?!なに、?』
影山「好きなやつと二人っきりだぞ」
影山「この状況で我慢出来るわけない。」
影山「ほんと顔真っ赤だな。」
いや、これで赤くならない女はいない。
『か、かげやま、一旦落ち着こ、??』
『さ、錯乱してるんだよ、!!』
影山「? さくらん?ってなんだ」
(おおおおお落ち着け私??)
(なんとかするんだ影山も扉も!!)
(考えろ・・・っていや無理!!!顔近!!)
私の太ももを優しく触り出す影山。
(ど、どうしたら・・・)
キイイィィィッ
日向「は?!」 『え』
どうにかしないとと冷や汗をかいていると、突如扉が開き私は後ろに倒れた。
そこには驚いている日向。救世主!!!
日向「さ、寒っ!どうした?!」
影山「日向、もう帰ってきたのか。」
『あ、ありがと日向ぁぁ!!』
私は感謝を叫びながら起き上がる。
日向「ちょ、え?状況を説明してください!」
『そ、それが・・・くしゅっ!』
(さ、寒っ・・・!寒すぎる!!!)
異様な寒さを感じくしゃみが出る私。
(・・・これだめだ)
『あ』 日向「え?」
私は視界が暗くなり床に倒れ込んだ。
菅原side
俺が体育館に戻ると、日向はひどく焦っていて、影山は混乱していた。地獄絵図。
菅原「日向影山?! どうした?!」
日向「そ、それがー・・・!」
どうやら西川が高熱を出しているようだ。
話を聞くと、体育館倉庫に閉じ込められたとか。なんで??
(と、とりあえず連れて帰んなきゃだな)
『くしゅっ、はぁ・・・はぁ・・・』
菅原「西川、聞こえるか?」
菅原「辛いよな。助けられなくてごめん!」
『けほっ、はぁ・・・』
(返事もできないか、)
(耳が真っ赤だ、ちょっとやばいな)
菅原「とりあえず帰ろうか。」
日向「すすすすすみません!!!」
菅原「なんで日向が謝るんだよ笑」
菅原「大丈夫だから、また明日なー」
日向「は、はい、!!」
日向に挨拶をしてから西川に背中を向ける。
菅原「ほれ、おぶるからおいで」
『けほっ、わ、私・・・重いですから・・・』
菅原「もー!いいから来い!」
『は、はい・・・すみません・・・』
(・・・って軽?!ちゃんと食べてんのか?!)
俺は西川をおぶり荷物を持って体育館を出た。なぜか影山が着いてくる。
影山「俺がおぶりましょうか」
菅原「結構ですー」
菅原「影山家こっち方面じゃないだろ」
影山「まあそうっすけど」
影山「俺がそうさせたのもあるんで」
(俺が?西川は1人で閉じ込められたんだろ)
(・・・違うのか?)
菅原「? よく分からんがちゃんと帰れ!」
影山「西川を送ってからちゃんと帰ります」
(こ、こいつ・・・意外と頑固だな・・・)
俺は諦めて西川に声をかける。
菅原「西川ー?平気か?」
『ちょっとだけ、さ、さむいです・・・』
菅原「じゃあ・・・」影山「これ貸す。」
菅原「っておい!」
俺の言葉に被せて影山が西川にジャージをかけた。でかいだろ。
『んぇ・・・ありがとねかげやまゃ・・・』
影山「ん、おう」
(呂律回ってないな、かわい、)
いつもとは違う甘々な西川に耳が熱くなる。
菅原「もうちょっとだからな西川」
『はゃい、すみません・・・』
菅原「良いんだよー!無理すんな!」
(てか近ぇー、やわらかい、)
(服ぎゅってされてるし、かわいすぎだな)
しばらく歩くと西川の家に着いた。
俺は家の前に西川を立たせる。ふらふらだ。
菅原「ほら着いたぞー!」
『あ、ありがとうございまゃす・・・!』
『かげやまもありがと・・・これ、』
影山「おう。また貸す。」
『ふふ、もう熱出さないよー・・・??』
影山「熱出た時じゃなくても忘れた時とか」
影山「いつでも貸してやる。」
『うぇ、ありがとね、』
菅原「じゃーな西川!」
菅原「明日と明後日は休みなんだから、ちゃんと休めよー!」
『はゃい、それでは、!』
俺と影山は家の中に入っていく西川を見送ってから、それぞれ家に帰った。
終わり.