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麗は腕を組みながら、じっと鈴の顔を見つめていた。
「……鈴、まさかとは思うけど……またスキンケアをサボったのかい?」
「え?まあ、ちょっとめんどくさくて──」
「ちょっと!?めんどくさい!?この世界一美しい僕が毎日丹精込めてやっているというのに!?」
麗は頭を抱え、絶望的な表情を浮かべた。
「くっ……美を怠るなんて……なんて罪深いことを……!」
そう言いながら、麗はすぐさまポーチから高級スキンケアセットを取り出した。
「いいかい、鈴。今日は特別に僕が直々にやってあげよう!まずはこの化粧水……君の肌に奇跡を起こす魔法の水だよ……」
鈴が呆れ顔で座っていると、麗は真剣な表情でコットンを滑らせる。
「どうだい?この優雅な手つき……まるで芸術だろう?」
「はいはい。」
「適当な返事しないで!僕は今、君の肌を救おうとしてるんだ!!」
そんなやりとりをしながら、麗は念入りにスキンケアを施した。
──翌日。
麗は鏡を見ながら、何気なく頬を撫でた。そして、ほんの少しのざらつきを感じた瞬間──
「……ん?」
次の瞬間、彼は全身を震わせ、絶叫した。
「うわぁぁぁぁぁぁ!?僕の肌が!?この僕の肌が荒れている!?なぜだ!?どうして!?何が起きた!?」
バタバタと部屋を走り回りながら、麗は頭を抱えてうずくまる。
「ま、待て……冷静になるんだ麗……これはきっと光の加減……そう、錯覚だ……いや、でもこのざらつき……」
鏡を10回以上角度を変えて確認し、最終的に地面に崩れ落ちる。
「終わった……僕の美が……終わった……」
すると、鈴が横から一言。
「昨日、私のスキンケアに夢中で自分の分サボったんじゃない?」
「…………」
「…………」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」
麗の悲鳴が、朝の空に響き渡った。