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村の奥、小さな木造の空き家。

ここが、健と私の新しい暮らしの場所だった。

朝は鳥の声で目覚め、昼は一緒に畑を耕し、夜は囲炉裏の前で温かい食事を囲む。

そんな日々が、ずっと続くと信じていた。


けれど、その平穏はあまりにも脆かった。


ある晩、外で何かが軋む音がした。

『……風の音やろ』

健は笑ってそう言ったけれど、私の胸はざわついた。

戸口を開けると、松明の炎がいくつも揺れている。


【居ったぞ!化けオオカミや!】

突然、村人たちの怒声が夜を裂いた。

健はもう呪いが解けているはずなのに……

彼らはそれを知らない。

いや、知ろうともしなかった。


私たちは逃げようとしたが、すでに家は取り囲まれていた。

縄が健の腕を縛り、私も後ろ手に捕らえられる。

「やめて!健はもう……!」

必死に叫んでも、村人たちの耳には届かない。


《さっさと牢屋に連れて行け!》

村長の冷たい声が響く。


こうして、2人の幸せな日々は終わりを告げた。

月夜に吠える、君の名を 《続》

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