死ネタ注意!(この話以降省略)
花びらがひらりはらりと舞う中、自分はお墓の横に座って桜の木を見ていた。
「この桜、君と一緒に見たかったな」
誰に言うでもなく呟いた声が、誰もいない空間に木霊する。
このお墓には僕の大事な人が眠っている。
冬、吐いた息が白く染まるような寒い冬の日に君は僕を守って交通事故で死んだ。
まるで雪が解けるように君は儚く散ってしまった。自分のことを雪だるまだ、なんて言っている君だ。本当に溶けてしまったのかもしれない。
その日は雪が降っていて、まるで僕らを覆い隠すように降り積もった雪がみるみると赤く染った。
今でもその赤色と雪の冷たさを覚えている。
目に焼き付いたその光景を忘れることは無いだろう。
「結局一人だけで花見だよ」
2人でお花見しようって約束、守れなかったなぁ。
ごめんね。
でも、しばらくはそっち行けないな。
僕がそっちに行っても君はきっと喜ばないし、怒られるだけだから。
だから、君の分まで生きるって決めたんだ。
お墓に静かに手を合わせる。
「おらふくん、何十年後になるかわかんないけど、いつか僕がそっちに行ったら一緒に桜を見よう。だから、待ってて」
さあっと風が吹いて供えた花が揺れる。
その温かさは冬の寒さなんて感じられなかった。
上から見てたりするのかな、と見上げてみるけど、当然何も見えないし聞こえない。
ただ澄んだ青空が拡がっているだけだ。
それでいいと思った。
コメント
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泣けるぅぅ!。゚(゚´Д`゚)゚。