テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
絶対辰哉
138
1,687
絶対辰哉
539
絶対辰哉
514
雑誌の撮影から数日。
翔太は変わらず笑っていた。
何も変わらない毎日。
何も変えない毎日。
でも。
一番近くで見ている宮舘だけは、その笑顔が少しずつ薄くなっていることに気付いていた。
────────
❤️side
「おはよう」
楽屋へ入ると、翔太はもうソファに座っていた。
スマホを見つめたまま動かない。
💜「翔太、おはよー」
💙「おはよ」
💚「今日も早いじゃん」
💙「なんとなく」
いつもの返事。
でも、どこか上の空だった。
その時。
スマホが震える。
翔太は一瞬だけ画面を見る。
その表情が曇る。
すぐに電源を落としてポケットへしまった。
ほんの数秒。
でも。
宮舘は見逃さなかった。
(まただ)
最近ずっとそうだ。
通知が来るたびに表情が変わる。
仕事が始まれば笑う。
その繰り返し。
「みんなお願いしまーす!」
スタッフに呼ばれ、全員が立ち上がる。
翔太も立ち上がる。
その時だった。
ふらっ。
ほんの少しだけ体が揺れた。
❤️「翔太」
咄嗟に腕を掴む。
💙「……っ」
💜「え?」
💚「大丈夫?」
💙「あ、ごめん」
💙「立ちくらみ」
笑っている。
でも。
掴んだ腕は驚くほど冷たかった。
────────
💙side
最悪だ。
みんなの前でふらつくなんて。
寝不足。
食欲もない。
ここ最近まともに食べられていない。
そんな生活を続けていれば当然だった。
でも。
涼太に腕を掴まれた瞬間。
少しだけ安心してしまった。
(だめだ)
頼っちゃだめだ。
もうすぐ。
全部終わるんだから。
────────
収録が始まる。
今日はトーク番組。
全員で横一列に並び、最近の出来事を話す企画だった。
「渡辺さん、最近ハマってることは?」
💙「最近ですか?」
少し考える。
本当は何もない。
考える余裕なんてなかった。
💙「映画ですかね」
「おすすめあります?」
💙「ありますあります」
自然に会話を続ける。
スタッフもメンバーも笑っている。
その横で。
宮舘だけは翔太を見ていた。
笑っている。
でも。
目だけ笑っていない。
二十年以上一緒にいるから分かる。
今の翔太は。
“誰にも心配かけないように笑っている”
だけだった。
────────
収録が終わる。
「お疲れさまでした!」
メンバーが楽屋へ戻る中。
❤️「翔太」
また名前を呼ぶ。
💙「ん?」
❤️「少しだけ」
「屋上行かない?」
翔太は少し驚いた顔をする。
屋上。
昔、デビュー前によく二人で話していた場所。
💙「……いいよ」
断る理由が見つからなかった。
────────
屋上。
冬の風が静かに吹いていた。
東京の街が見渡せる。
フェンスにもたれながら、二人で景色を眺める。
しばらく誰も話さない。
この沈黙は嫌いじゃない。
昔からそうだった。
「寒いね」
翔太が小さく笑う。
❤️「そうだね」
また静かになる。
数分後。
宮舘がゆっくり口を開いた。
❤️「翔太」
💙「ん?」
❤️「最近、俺のこと避けてる?」
その言葉に。
翔太の時間が止まった。
💙「……え?」
❤️「ご飯も断る」
❤️「帰りも一人」
❤️「連絡も前より減った」
❤️「何かしたかなって」
責めるような言い方じゃない。
本当に分からないから聞いている。
そんな声だった。
翔太は視線を落とす。
言えない。
“一年後にはいなくなるから”
なんて。
そんなこと。
💙「考えすぎ」
やっと出た言葉は、それだけだった。
宮舘は小さく笑う。
でも。
その笑顔は少しだけ切なかった。
❤️「そっか」
❤️「じゃあ俺の勘違いか」
そう言って笑った宮舘を見て。
翔太は拳を強く握り締める。
(違う)
勘違いじゃない。
避けてる。
わざと。
これ以上、大切にならないように。
離れる時。
少しでも苦しまないように。
全部、自分が決めたことだった。
だけど。
宮舘の寂しそうな横顔を見た瞬間。
その決意は、音を立てて揺らぎ始めていた。
コメント
2件
なんか前回のいわふかと繋がってるみたいになってる気がする あるいはいわふかと同じ展開?っていうかってかんじ しょぴの「考えすぎ」もいわもっさんがいってた
みぅです🖤 第5話、読み終えました…。 翔太の「もうすぐ全部終わる」って言葉、すごく重く刺さりました。屋上での涼太くんの「避けてる?」って問いかけ、あの何でもないような口調が逆に切なくて。二人とも相手を想ってるのに、すれ違ってるのが辛いです。でも、最後の涼太の横顔で決意が揺らぐ翔太…この先どうなるんだろう。 続き、気になります。 絶対辰哉さんの描く繊細な心理描写、すごく好きです。大切に読みますね。